My Mother said that I never should play with the gypsies in the wood, The wood was dark; the grass was green; In came Sally with a tambourine. I went to the sea-no ship to get across; I paid ten shillings for a blind white horse; I up on his back and was off in a crack, Sally tell my Mother I shall never come back. -Songs of Mother Goose-
2013年1月15日火曜日
オランダ 早朝の床屋
空が夜明けの色になる頃、
オランダに来て三日になるのに、よく眠れない私は、
寝室の大きな窓から、向かいのビルディングをただ眺めている。
たとえ姿が見えなくても、都会にはなにかしら生活する人の気配があって、飽きない。
まだ夜のような闇のなか路面電車がはやくも働きに行くらしい人々を少しばかり乗せ、
八階建てのアパートメントの窓には、灯りが二つか三つぐらいしかついていない。
向かいの一階に並ぶ店舗のひとつに白いような明かりがいつのまにかついた。
歩道に歩く人影はない、午前五時なのか六時なのか、
夜明けのそこに金髪の小さい子どもが現れた、まるで魔法だ。
ちょこちょこ、一人か二人か? 見ればかたわらのおとなの歩調にあわせて歩き、
白い明かりの店内に、連れられて、入って行く。
病院?大きなガラス窓の向こうは歯医者さんなのかしら?
広い道路をはさんで、見ているので、
すべてが幻の絵物語りのよう、現実感がない。
黒づくめのおとな、一人は男性もう一人は麦わら色のカーリーヘアの女性、
ふたりが、子どもたちのコートを脱がせ、窓のそばのコート掛けにかけている。
小犬?が走ってくる、子どもは追いかけてぐるぐる。
冬だけど、あたたかいのね、部屋の中は。
小さいふたりが・・・大きな椅子に腰かけ、白い布が首にまきつけられ、
椅子の前は大きな鏡なのだと理髪師たちのパントマイムでわかった。
おとなのほうは長い足を床に、自分の順番を待つふうである。
・・・看板。Hair@Jerrys
やっぱり理髪店。
なぜこんな夜明けに来るのだろう。
もちろん予約して?
太陽は灰色の空へのぼってゆかず、地平のどこかにとどまったままのよう。
灰色の鳥があちこちのビルをかすめて、はすかいに飛ぶ。
よく見ると白い鳥、カモメ、・・・カモメなのだ。
・・・看板の下をお父さんに連れられて、三人の金髪の坊やが帰って行く。
店員は床を掃いている。
道路では、パパがかがんで、小さい男の子の外套のボタンをはめてやっている。
それから軽々と一番小さい子をだっこし、クルマのところまで歩き・・・。、
みんな黒い外套を着て。道端に停めた大型車に乗って。
どこへ帰るのかしら。
お母さんが家で待っていて、朝食の支度をしているのだろうか。
白、黒、金髪の金色、それからグレー。
なんてきれいな絵柄なんだろう!