My Mother said that I never should play with the gypsies in the wood, The wood was dark; the grass was green; In came Sally with a tambourine. I went to the sea-no ship to get across; I paid ten shillings for a blind white horse; I up on his back and was off in a crack, Sally tell my Mother I shall never come back. -Songs of Mother Goose-
2020年3月25日水曜日
春の一日
2日続けて、病院へ。あいまに出来ることを休まずに片づけたら、
とんでもなく疲れて気分が悪く、2日ほど立ち直れない。
今日は夜になって「サラの鍵」というフランス映画を観た。
古い映画だけれど、素晴らしかった。
見終わってしばらく胸の中が哀しみでいっぱい。
戦争が終わって2、30年のころは、文学も映画もみんなこんなふうだったと、
懐かしく、そして今という時代の不穏と無力がとても苦しい。
今日は1日なんにもしなかった。横になって本を読みながら時々、外を眺める。
庭の手入れもできないでいるのに、いつのまにか小さな花が咲いている。
多年草って有り難いものだなあと思う。
紫色のムスカリや白いヒヤシンス、クリスマス・ローズ、何年も前に植えた
黄水仙がのこって、若い雑草のあいだあいだで、ちゃんと花をつけているのだ。
小さくて不揃いな花々が、無音で風にゆれて可愛らしい。
・・・その代わり紅梅が枯れてしまった。小柄な紅梅の木は、小鳥がやってくると
花をびっしりつけた枝が、迷惑そうに揺れていたけれど、それはもうおしまい。
今は夜なので、明日はお天気かしらと、洗濯物を取り入れながら空を見る。
遠くに幻影のような雲がぽうーんぽうーんといるような気がする。
その雲のよこに星が見えて、それはさっき映画の中で観たユダヤの星のようだった。
目がちゃんと見えて、なにもかもがはっきりピントが合っていたりしたら、
世界はたぶんこんなにロマンティックなもんじゃないんだろうなーと思う。
おぼつかなくとか。こころもとなくとか。
私たちには年相応の世界というものがあって、月も星も雲もソフトフォーカスが
けっこう懐かしい見え方だったり面白かったり。そんなに不便でもないし。
ベンリからゆっくり遠ざかればいいのよね。