今日は、糖尿病の診断検査の日だった。
先生がビックリして、
「血糖値がすごくさがっていますね、どうしたんですか ?」
なんにもしてないし、わっからなーい。
「ええと」と私は言う。「すみません、わかりません」
クスリの入った袋を先生の机において、
「つい飲みそこないが多くて、先生に見ていただこうと思って」
ぼんやりしていると、飲めないクスリをゴミとして捨てることになる。
なぜか病院は、もうじゃんじゃん、お薬をよこすのだ。
どうしてだか肝臓以外は数値が正常。
薬局で薬剤士の青年が、どうしてですかと私にきく。
「お酒、飲みます?」
「はい、飲みます」
「毎晩ですか?」
「はい、毎晩」
「それが原因だな。やめられませんか?」
「はい。やめられません。だっておもしろくないもんね」
薬局の青年は、はっはっはっと笑っちゃって、
「そりゃそうですね、ごもっとも」
ぼくだって、といまにも言いそうだった。
いま読んでいる本の著者が、自分もパンデミックで外に出られないと言い、
いくつか昔の映画をビデオで観た、と書いている。
「ゴッド・ファーザー」を見るとよい、疫病の大流行で政治の手が届かない、
政治制度がどん底みたいな今だと、かえって理解できるものだとか。
それで、観る。おもしろくて素晴らしくて、途中で観るのをやめられない。
旅先の映画館でむかし観たなと思い出す。
名古屋とか大阪だとか、どこか地方の映画館で上映中だった。
旅先でも大評判だったので、みんなで観にいったのだ。
宇野(重吉)先生に、どう思ったかときかれて、
すごく間抜けな感想をいったというイヤな思い出。
あれから50年もたったなんて?