My Mother said that I never should play with the gypsies in the wood, The wood was dark; the grass was green; In came Sally with a tambourine. I went to the sea-no ship to get across; I paid ten shillings for a blind white horse; I up on his back and was off in a crack, Sally tell my Mother I shall never come back. -Songs of Mother Goose-
2020年6月21日日曜日
オランダのおみくじ
遥はオランダから、知恵占い、みたいな小箱を、時々送ってくれていた。
世界の賢人の格言を集めたもので、もちろん、オランダ語。
遠くにいる私のために小さな文字でヨコに日本語がつけてある。
私が喜ぶものだから、それは4箱にもなった。2,3年がかりだった。
白い小さな紙のひと箱に90ぐらいの格言、神社でいえばおみくじが入っている。
オランダのおみくじって、
エラスムスだとか、プラトンだとか、そういう人のお言葉なので。
遥の日常あやつるオランダ語は、この占い箱翻訳作業のせいで、
いささか、格調高く説教がましい色あいを帯びたかも。
もともとは、陽気で冗談っぽい娘なのだけれど。
きのう私は深夜になってから、箱のひとつをとって、
用心しながら、ピンセットで(小さいから!)紙片を選んで取り出した。
雨続きで、もうどうやったって、元気がでないからだった。
そうしたら(詠み人知らずで)、それはこんな言葉だった。
幸福が見えない? 幸福はあなたを見てますよ。
ℤiet u het geluk niet? Het ziet u wel
たとえ、コロナの蛮力をかりて、ファシズムの暗い影が世界を覆っても、
今という時だからなおさら、私の人生の幸福は家族と友だち、
わずかかもしれないけれど、それでも少なからぬ人たちだ。
私の幸福は、きっとそういうことなのだ。
私はみんなを見ているし、みんなも私を見てくれているのだろう。
白い箱からとりだした小さい小さい紙片が、
遠くからとどいた遥のお母さん応援のような気がして、こんど朗読の日に
友だちみんなにこのオランダのおみくじを引いてもらって
あれこれ笑いあおう、と思ったりした。