2018年1月4日木曜日

不幸


友人の家にいて、携帯電話が鳴る。

長いあいだの友人からだった。帰宅して夜遅かったけれど電話。
娘さんが会社の旅行でセクハラを受け、拒絶すると、
あいつは3万円で寝ると言っている、と言いふらされ、
彼女は会社に帰ってから、社長に抗議。
社長は善処すると約束、即座にセクハラ社員を呼んで彼女に謝罪させたという。
(数日後、セクハラ社員の奥さんが彼女を訪問して謝罪)
ところが謝罪したその足で、セクハラ男は彼女があらぬデマを振りまいていると
社内に言いふらし、他の上司からお前が悪いと言わんばかりの注意(あてこすり)を
彼女は受け、善処は空約束でなんの進展もなかった。

娘さんが母親に話すまでに約二ヶ月かかっている。
セクハラ社員に社内でいき会うと精神に不調をきたし、心療内科に通い・・・。

よく知っているけれど、
苦労して大きくなった胆力のある強い娘である。
結婚して鎌倉に小さな家を建て、夫婦でローンを返しながら働いている。
夫は優しい、大島の人だから彼女を大事にしている。
彼女が法的解決をしたいと言うと、賛成したそうである。

弁護士についての相談だった。

ひるま私がうかがっていた友人のお宅は、豊かでとてもスマート、
なにからなにまで理に適っているという素敵さであった。
早くから日本のシステムに見切りをつけ、ハーバード大学で研究を続け、
アメリカ国籍を取得、子ども3人はみんなアメリカで成長しアメリカで結婚生活、
数々の写真で私がまことに胸をうたれたのは、
いかにもの家族という感じ、みんなが健康で幸せそうだということだった。
家族というあの感じ、ささやか?な理想が、立派に実現していることだった。

夜中にセクハラの話をきく前から、私はみんなのことを思い、
みっちゃんを思い、自分や子供たちを思い、朗読の仲間を思った。
日本の、我が国のシステムは、どうしてこうも不安と不幸を呼ぶのだろう。