2014年11月13日木曜日

秋から冬へ


毎日、飽かず居間から庭をながめていると、風がどこからともなくやってきて、
柿の、柿紅葉というそうだが、赤い葉が敗北したトランプのカードみたいに落下する。
葉を喪った柿の木のむこうは低い土手で、下の通路まで何メートルあるだろうか。
背の低い数本の木のむこうに、深緑が褪色して若葉色になった大木が見える。
メタセコイヤが、すこしづつ、ねじるように赤くなりはじめている。

メタセコイヤ通りには、時々、茫然としたみたいな小型自動車がハザードランプをつけて、
止まっている。あの慎ましいクルマの運転席では、われにもあらず年取ったひとが、冬を前にした樹木の挨拶をうけて、少しばかりゆっくりしようと思っているのだろうか。
そうだとしたら、その人は、私に少なからず似ているのかもしれないと思う。
メタセコイヤ通りの秋はこれからだ。尾根幹線道路につながるこの道は、いまに赤いレンガ色に
変わる。この通りは火がついたようになる。赤毛のアンの頭のようなカラーになる。

坂の下の小さな図書館にさっき昔ふうの少女小説を返してきた。
「ダーヴィンと出会った夏」、ジャクリーン・ケリー作。
キャルパーニアという12歳の少女と彼女のおじいさんの物語だった。
グラハム・ベルが電話を発明して、それがやっとテキサスまで届いて。
昨日の夜中、もう一冊「35歳を救え」という怪談みたいな本を読んだ。
NНKと三菱総合研究所が研究した、2009年出版の本
なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか、それが副題。
こわくて眠れなかった。2011年の津波と福島原発のメルトダウンの、
あれ以前でさえも、わが国はこうだったのかと思うと。