2014年11月19日水曜日

「天才スピベット」を観る


昨夜見た映画は「天才スピヴェット」
ヒット作「アメリ」の監督ジュネの作品で3Dだから、仕掛けが見もの。
可愛い、楽しい、美しい、純粋、設計スケールが壮大。上質なメルヘン。

フランスとカナダの合作。

でもとちゅうで眠りそうになった。
登場人物に共感できないから退屈なのだ。
大がかりな作品。単純なテーマとストーリー 。模型としてはすごいけど類型的。
世界的に有名な俳優が使われているのに、10才のT・S・スピヴェット役(主人公)をのぞいて、
ぜひ見せてほしかった役割を、俳優たちが果たしていない。

いくら素晴らしい表現があっても、リアリティーがなければ空回りということだ。
面白い演技も、秀逸な表現も、俳優それぞれに孤立して演じられては、
共感できる、いかにもの人間関係が、画面の中にうまれない。
スピヴェットという天才少年に新しく加わった変化と成長が、私にはどうもピンとこなかった。
演技力のバザーを見たってしょうがない。

10才の天才が天才ゆえにスミソニアン博物館へ演説しに行けたということであれば、
ふつうの人間には生きている愉しみなんてない。
 ニンゲンはおたがい同士、手伝える存在だからいいんじゃないの。
ドラマって、それが楽しみ、それが感動でつい見ちゃうもんだと思うけど。
プログラムを読むとロビン・ウィリアムスに断られた、とあり、キャシー・ベイツはガンで
出演不能になった、とある。
ロビン・ウィリアムスはうつ病で自殺してしまった。

ただもう、小さい天才カイル・キャトレットの恐るべき演技力に
みんながまけちゃって、編集も監督も、こういうことになったのか、

この子はまぎれもなく天才的だが、ぶじに大人になって幸せな人生をおくるのだろうか。

映画のほうでも観客をえらぶのかしら。そうかもしれない。
都会生活者の生活はシンプルでもなく単調でもない。その逆でストレスだらけだ。
日本人としての私は、自然の中での雄大素朴、一本調子な繰り返し(!)と縁遠い。
私自身は不自然そのもので、人工的一生をすごしてしまった人間である。
フランス的、牧歌的ありようも、そういう日常からの脱出もまるで期待しないし、できない。
それだから感心できなくなっちゃってるのかも・・・・とも思う。
だって、ものすごくお金をかけた映画だ。
フランスじゃ大ヒットしたというし。