2012年10月4日木曜日

映画「ニッポンの嘘」×松元ヒロ


新宿ケイズシネマって84席。
新宿駅東南口を御苑方向に階段を降り、側道を御苑方向に進む。
大塚家具があるから、そのビルに沿って手前横を左に曲がる。
ビルの切れ目を3階にのぼると映画館です。
ミニシアター。すわり心地のいい座席。
椅子は大塚家具が用意したのかしら。
そこで「ニッポンの嘘」を観ました。

松元ヒロ・ライブで、ヒロさんがこの映画を実演?したので、
そんなに素晴らしいならホンモノをと思ったわけです。
複眼で見る。
ヒロさんの「案内」プラス自分なりの「見る」。
映画を二度観たというのともちがうけれどおもしろい体験です。

カメラマン福島菊次郎90年の足跡を追うドキュメンタリー映画。
DVDがあったら買って、生きることが苦しくなったらとりだして、
友だちみんなといっしょに観たい。きっと精神がシャンとするだろう。
長生きすれば納得できることも起きる、自分を律してズルイことをしなければ。
見ればそのたびそう思うことだろう。
私もがんばろうという気持ちになるだろう。
監督 長谷川三郎。スタッフがいい。朗読が大杉漣。
脚本もいい。朗読も、生活の描写も、数々の写真も、ピシッとおさまって
素晴らしい。

・・・松元ヒロのソロライブに考えをもどすのですが、
福島菊次郎の数々の写真が語る、たとえば「東大安田講堂」を、
松元ヒロが舞台で再現して見せたとき、
私の頭に不意に浮かんだのは、こんなことでした。

自分はまちがっていたのかもしれない。
真実を見過ごしたのかもしれない、
あの闘争の意味は、本来違うところにあったのかもしれない、
何千人もの無名の若者が国家と闘う現場にいたというその事実にこそ、
希望も意味も、見つけるべきだったのかもしれない。
私は数人の指導的人物だけを目で耳で追い、マスコミの誘導にスンナリのって、
ゼンキョウトウは暴力的とただそれだけ考えて、
真実とはちがうものに行き当たり今日まで来たのかも。
そういうものの見方、考え方は、まったくもっていいかげんだったのかも。

なんでだか私はふうっとそう考え始めたのです。
べつだんヒロさんが、ことばにしてそう言ったわけじゃなかったのですが。
「だいじなものは目には見えないんだ」
星の王子さまはそう言ってたかなあ、と思う。
砂漠が美しいのは、砂漠がどこかに井戸を隠しているからなんだって。
あの時の、無名の若者たちこそ、砂漠の井戸だった、
そういう考え方をしたほうが、日本人としては、私としてはよかったのかしら。

「ニッポンの嘘」は、真実を哲学的に考える映画になっている。
あいまいな私に、写真が直接応えている。
報道写真家福島菊次郎さんの90年と写真は渾身の回答なのでした。