2021年7月10日土曜日

コロナ禍の老年


私がすこし、2400歩ぐらい歩いて行く先に、古本を売っている店舗がある。
それは建築事務所のガラス窓の外の地面で、一冊が100円。中ではたらく人たちが
読み終わった絵本や単行本を、地面に置いて通行人に提供してくれる。
そこを通るたび、ついつい本を買う。100円だから。

中村哲さんの本も、100円で買った。
「中村哲さん講演録」平和の井戸を掘る
アフガニスタンのからの報告 
       ピースウォーク京都  2002年5月19日発行

そこにこうある。
会場の質問に中村さんは、私にこれといった信念はございません、と言い、
医者としては命がだいじということだと説明しながら、「三無」が主義だと説明。
「それは無思想、無節操、無駄というものであります」

そしてこういう説明。
中村さんたちの「無思想」
我を通すために特定の考えや思想に定着しないということ。
募金にしても右翼から左翼まで。宗教も仏教、キリスト教、イスラム教、
中村さんたちの「無節操」
その他いかなる宗教も問わずいろいろな方からいただきます。
これが無節操でありましてと言い、たとえばついには、
乞食からその日の稼ぎをぜんぶカンパしてもらったエピソード・・・。
貧しい人に愛の手を、といった惨めったらしい募金だけはするまい、しかし
くださるという方ならだれからでも、たとえ乞食からでもー
そして「無駄」
思考錯誤を恐れない。
私たちの場合は積極的に過ちを認めて、ウロウロと試行錯誤を繰り返しながら
何かをやっていこう―これを常に意識において、実際の活動に取り組んでいる。


どうしてか。
アフガニスタンで活動したから。
アフガニスタンはクルマの通れない山道がほとんどだから。
何日もかけて歩いてようやくたどり着くような標高3000メートルの村々。
そういう土地。