2011年8月23日火曜日

なんでもアリタさん

在田さんが来てくれてクーラーの清掃。
例によって徹底的である。
子どもが幼児だったころからの、ふるいつきあい。
継母が死んだ時も、施設から夜明けに電話をかけ葬儀の前仕度をたのんだ。
うちに帰ると、通路から庭や家の中まで、たのんだ通りの準備がぴしっとできていた。
ほとんどなんにも言えなかったのに。
思えば胸にせまることだった。

子どもに数学を教えてもらったこともあったっけ。
めったに会わないのに、家族のようなかんじ。
特別仲がいいわけじゃなくても、在田さんはあてにでき信頼ができる。
それも絶対にだ。
クセがあってガンコで古風。、頭脳明晰がすぎたのだろう、会社で差別されて、
あげく病気になり、挫折のなかで離婚し、かたくなな生き方を貫くものだから、
つきあいにくいことおびただしいサムライではある。

「なんでもアリタ という仕事をしたら? なんだって出来る人なんだもの」
失業してるんだよと苦笑いするからすすめたら、驚くべし彼はそれを完璧な仕事にした。
いま在田さんは飄々となかば自由に生きている。
私は彼と同い年で、おなじ時代を生きた。
可愛くないけど事実本来的に信頼できる、
そういう人格の男が育つ土壌が戦後日本にもあったのである。