2012年4月5日木曜日

ことばの働き・団地の総会


総会に出席。

はなっから「高齢者対策」という五文字の氾濫で、
しょうがないのか言われちゃってもと、
おとなしく耳を傾けるうち、
あのねえ、対策、対策って、高齢者対策って。
考えてみるとイヤな熟語なんだなあと思うようになった。

だって、みんなトシはとるのでしょう?
あきれたというか。
トシってとっちゃいけないの・・・本気でそう言ってるの?

人類って、この私って、みんなも、トシをとるとただ劣等になるのみ?
ひがんでるんじゃない。ふんがいしているのだ。
私はこれでもこの団地の戸主の一人なんだけど、
その程度じゃ、もう高齢者で対策されちゃうの?
戸主になる、戸主をやる、
さんざん努力をしてきた。今だって努力はしている。
信じないかもしれないけど、
私は若い時の私より今のほうがまだマシ、まだ利口。
トシをとるって、そういうところもあるでしょう?

女性が極端に少数だから、つい言っちゃうのですが、
見たとこ、人品骨柄、けっこう立派な男の人の集まりなのに、
なんでおめおめ自分で自分を
「高齢者対策」という失礼言語のワクの中にいれるのだ?
わっからなーい!


「高齢者対策」とは、
役所の上意下達・鈍感部創作の、失礼言語である。
オモテッツラだけ有能な、ナサケ知らずたちが使う役所用語である。
若い人のそういう言動も失礼だと言いたいが、
なんで老人戸主が自分たち用にその言葉を採用するのだ。
自分でそんなこと言っちゃいけない。
人間のチカラはなにも体力と記憶力だけじゃないんである。
ここは会社でも役所の会議でもない。自分たちの終の住処の相談会だ。
みんながとしをとったのに、「それならそれなりに」という考えが、
総会進行の論理のなかに多少でもうかがえないなんて、
ヘンじゃないですか。

ジャパン アズ ナンバーワン!

たぶんそういうウカツな人は、
若いころからバリバリ有能、役人まがいの効率主義、
ぼやぼやしている若者や、オンナ子ども、老人を、「対策」してきたのだろう、
だからみんなウッカリ、老人になって自分のこともそう形容しちゃうのだ。

ぼやぼやしている人は人間的でやさしいのに。

あーあ。
なんだかガッカリしてきて、
うしろのほうから、ざっと何人が老人かしらと見渡す。
97世帯60人出席の、なんだ、ほとんどの人が老人なのよね。
うちの団地って老人の天下!
「資産価値」「資産価値」と言いさえしなければ、
とてもおめでたいことである。
だってそうでしょう?
初代入居でここが気に入って30年。 私などは途中入居なのですが。
40代でここを買い求めた人たちが、
無事もちこたえて70とか80の坂を越えたのだ。
いまさら、もう売らないし引越しもしたくない、というのがふつうでしょう? 
だから、まずお祝いから始めればいいのにね、総会もね。

だれかが高齢者対策、高齢者対策って「錦の御旗」をたてるな、と言ってくれて、
そういう人が複数いる、それこそが私たちの世代のいいところだ、と思ったのですが。