2015年10月19日月曜日

ほっとファミリー


ほっとファミリーとは、養育家庭のニックネームで、
むかしふうに言うと里親制度ということになる。

体験発表会(町田市)があって、朗読サークルの仲間のひとりが今回発表した。
作文を書き、声にだして読む練習をして、もう繰り返しくりかえし・・・。
私はとっても愉しみだった。誇りだなんていうとおこがましいけれど、
ぜったい「優れた報告」をすることになる、と確信していた。
なにしろ下書きを書き直して書き直して、彼女は優等生になったみたいにがんばった。
イヤもしかしたらこの人って、もともとは優等生だったのかも。
そうとは知らなかったからオモシロサもうれしさもすごく新鮮、感動だって3倍だ。
里子の親になって9年というから、
報告の中に描かれたこの「ほっとファミリー」について、
朗読サークルの私たちにも、遠目ながらあゝあの時、と様子はわかる。
様子が少しはわかる幸運というものがあるのだと、しみじみ思った。

彼女の夫君は「里親になるのは国民の義務だ」と言い、里親になりたい人だったと
10枚におよぶ報告の最初にKさんは書いている。
世の中には偉い人がいるもんだなと、そうとしか言いようがない非力な私だけど、
彼女の素直で、あるがままの作文には、私たちそれぞれの人生と重なる感もあって、
ホールの座席できく人たちは、みんな、泣いたり笑ったりしながら聞き入っている。
本人としては初めての「演説」であるし、前代未聞の体験で、
流れる顔の汗をハンカチで拭いてもいいかどうかよくわからず、しかし気になってたまらず、
演壇に用意された水は、飲みたくてもペットボトルだけポンとおかれてコップが無いし、
もうそれどころじゃない30分間だったわけで、
「人の顔も様子もまるでわかりませんでした!」

作文をぜんぶ読みおわってお辞儀をして、わーっと笑った笑顔がよくて、
みんなもパチパチと共感し拍手し、そして笑ったのである。