2018年1月8日月曜日

アンジェイ・ワイダ監督の遺作


「残像」は素晴らしい映画である。
スターリニズムにおかされてゆくポーランド。政治と芸術と生活の運命。
劇場に出掛けて観ることができなかったのがとても残念だ。
カメラ・ワークが素晴らしく、俳優が老いも若きも壮年期の人もいい。
映画という手法によって語られる秀逸な哲学と芸術。群衆と個人。
政治権力は始めは官僚主義により大学の教育現場や美術館を侵略してみせる。
あっという間に、政治権力は生活のあらゆる場面を暴力をもって餌食にする。

すべてを切り取る語る巨匠の腕前がみごとで、
ああ、この人は 存分に生命を全うした知識人だったのだと思わせられて、
感動的である。
イリヤ・エレンブルグの「人間・歳月・生活」を思い出す。
今年はなんとかして、全巻くまなく読みなおしたい。