2022年1月20日木曜日

体力どん底


 きのうから私の体力はどん底になった。文字通り、歯をくいしばって買い物に行き、あれこれ8000歩以上もあるき野菜なんか買って、いくらなんでも・・・帰宅はバスだ。ところが・・・そのバスがなかなか来ない。10分おきに来て私たちを乗せて走ってくれる有り難い神奈川中央交通のバスなのに、随分待って、バスを待つ行列が長く長くなった。どうしたんだろうと思うけれど、だまっているしかない。口をきくなという命令が市中に貼りめぐらされているからだ。たぶん、乗客のだれかが運転手にいちゃもんをつけてと想像するわけだが誰もなんにも言わない。・・・長い行列がただ投げやりな沈黙のうちにある。

カミュの「ペスト」を読みたいなと、あてもなくバスを待ちながら私は考える。街はたそがれから暗闇にかわり、やっと帰宅すると6時半にもなっている。健の帰宅まで2時間。歯をくいしばって3階までいき屋上の洗濯物を取り込み、ストーブをつけて衣類をあたためて乾かし、ごはんを炊き、あらかじめ解凍しておいたタラのみそ漬けをまえに思案なげくび。遥の帰国にあわせて買っておいた北海道の海産物・・・いっそ外食、と思うけれどいま息子には帰宅後もう一度出かける体力がない。

さて、次の日の今日になって、私ときたらきのうの晩ご飯のお惣菜の名まえがどうしても思い出せないでいる‼ 用意はちゃんとしたけど・・・うーんと。広辞苑で「厚揚げ」をさがせば「厚揚げ」は「生揚げ」のことだとわかり「生揚げ」はナマを揚げたんだろうからと思い、どだい広辞苑の字がよく読めないじぶんの視力にこまり、けっきょく台所まで行って昨日のレシートを探す。生きるってなんてタイヘンなんだろうか、と思って、だっからこそ「ペスト」を読まなきゃとそこに考えがもどる。レシートには・・「あげてん玉ねぎ」とあって231円、むかしだったらこれなんか31円だったんじゃないの。1枚231円。少し大きめにきって炒めたヨコに絹さやを一袋ぜんぶ軽く炒めておいた。私は絹さや大好き。それがどういうわけかきのうは特売だった。 

アイルランドの映画、炭鉱労働者が失業してストリップのダンサーになって、というような。なんというタイトルだったか、母さんも観たよねと息子が言う。たしかに感心して2回ぐらいは観たかしら。あれ、いま見ると全然良くないよと健が言った。あれ、なんていう映画だっけ? 

あんたが思い出せないものをなんで私が思い出せるのよ。そこでまた、わたしの考えはふらふらとカミュの「ペスト」にもどる。カミュの「ペスト」のことは、まさかもうダメだとはおもわないでしょ? 親子だって40も年齢差があれば考えがちがうことが多い。さて本棚のどこにあったかしら。こんなことしてこんな本読んでいて、大丈夫なんだろうか。ある日ぷっつんと死んじゃったら? まーいいじゃないの、だってどうしようもないじゃないのと自分をなだめたりしてみる毎日だ。