2011年7月17日日曜日

メタセコイア通りの家

私は、土手の上に不安定なかっこうで立つ小さな家がよかった。
そこに緑の庭があり、小さな畑もあって、どこからともなく小鳥がやってくる。
小川のほとりだったらどんなにいいだろうか。
あたりまえだけど太陽と、月が、みんなの家も照らしこの家のことも、
おもしろそうにしばらくは照らしてゆく。
そんな家がよかった。
漢字でいえば、素朴、という文字の親類みたいな家。
でも人生じゃ、希望は半分しか、かなわない。

私の家は一軒家じゃなく、土手の上に立ってはいたけど、畑はもちろんないのだ。
ハンカチーフみたいな庭に、ほっそりとした一本の柿の木。落葉樹だった。
その一本だけの木に、メジロやムクドリやコゲラ、ヒヨドリやスズメがきたのでよかった。
2001年9月10日、
私はひろった物ともらった物と、それから本をたくさんはこんで引っ越した。
美しいメタセコイア通りにその家はあった。