2012年9月19日水曜日

松元ヒロ ライブ 9/18


素晴らしいライブ。
なにから、話せばよいのか、見当がつかない。
私はヒロさんのファンで、ライブを見るたびいつも大笑いしてきた。
でも昨日ほど解放されて、のびのび爆笑したことはない。
なぜだろう、こんなに不幸なのに。
今日もふたたび日本に不幸な朝がきた。
だけど、目がさめたら元気だった。
アイロンなんか掛けちゃった。

笑う門には福来たる。

会場が揺れるほど笑って、目はなみだでいっぱい、泣いたりもしたんだけど、
いったいなにを見聞きしたのか、よくは思い出せない。
茫然とし、スカッとし、あんまりおかしくて、笑っちゃって、
それなのに思い出せない。
「どうせあんたはつぎの瞬間パッと忘れてしまう」
松元ヒロのたびたびの老人向けギャグがおかしい。
私もそのとおりでこまったもんだけど、
幸福感はそのままだからやっぱり、幸福。

東電と政治家の悪口をつい期待したけど、そんなもんはそこそこ。
考えてみれば、それは巷(ちまた)に充満しているから、まあいいか。

昨日はライブ千秋楽の日。
松元ヒロさんはいつにもまして熱演だ。
鹿児島から東京をめざし今日に至るまでの「自伝」と、
映画「ニッポンの嘘」ー九十才のカメラマンのドキュメンタリーを全篇再現。
この伝記大作二本が柱なのである。だったわよね?
この二本立てがまた、縦横無尽、諷刺てんこ盛り。
体育運動、学生運動、芸能芸術にまつわるエピソード、
17万人デモの日、ドイツ人とのプチ会議、領土問題、「憲法のはなし」、etc・・・。
あっちへ飛びこっちへ飛びして、すごく爽快。
パントマイムつきコメディアンの「自伝」だから、オーッ、なんと、
大野一雄や、土方、エーと撰のテヘンがないやつ、そうだ土方 巽(たつみ)、
つまり暗黒舞踏の神々までもが、幽鬼のごとき如何にもの出現、ケッサクである。
永六輔、立川談志もモチロン模写としておもしろいが、
しかしながら一番おかしくてクール?!なのは松元ヒロ本人であって、
世相とともに浮き沈みする自分の人生を、ヒロさんは喜劇的奇天烈でもって戯画化、
私たち観客の昭和はこうしたものだったと、なんかこう思わせるのだ・・・。

その語り口は、私たちの気持ちをラクにする。

ヒロさんを通して私たちは自分のこともついでに笑っちゃって、
おかしくて笑うんだから、それは反省というより自己肯定であって、
たとえなにがなんだかきっちり思いだせなくても、
今も、心が温まっているわけである。