2012年9月14日金曜日

映画「内部被爆を生き抜く」を観に


映画と講演会。
鎌仲ひとみ監督の最新作「内部被爆を生き抜く」を観に行く。

講演会も終わってホールに出ると、女の人がひとり、貧血を起こして倒れ、
誰かがホールのソファに助けて座らせたところだった。
痩せて、拒食が始まっているのかもしれないと思うような人だった。
こわばってさびしい表情に、・・・とりあえず、ということを考えてしまう。
脳貧血って、ふつう、日々の過度緊張がひきおこした血行不良の結果だから、
そのヒトに必要なのは、血行をほぐしてくれるだれかの手であり、
思いつめた気持ちをきいてくれるだれかの温かみだと思う。

「内部被爆を生き抜く」は、生き抜く、それがテーマ。
どうせなら、なんとかして、
ほがらかに、希望を失わず、面白がって、生き抜きたい。
親切に、温かく、大笑いして、元気に。
頭を、じゃんじゃん、働かせて。

現実がホラーじみて、閉塞状況が深刻なので、
笑いこける相手でもいないと、私たちは思いつめてしまう。
不幸の果てしない底に、どんどん堕ちてしまう。
そんなことはダメだ。
自滅は敗北である。

9/13  鎌仲ひとみ監督と会場の人たちの質疑応答は、
私たちの国が、変化せざるを得なかった事情を如実に示していた。
それを「おんな革命」と鎌仲さんは表現する。
この事態を動かすのはいまや女であると。

映画と講演の夕べに参加し、会場で手を上げて質問する人の多くは、
内部被爆におびえる、若い母親である。
・・・2004年だったか、
鎌仲さんの映画「ヒバクシャ ー世界の終わりに」を観に行った。
あのころは、原子力の危険を警告する映画や講演の会場に、
若い人の姿など、数えるほどしかなかった。

昨日、鎌仲さんはこう話した。
「自分だけよく判っててもダメなんですよ。
家庭を変える、夫を変えることがまずは出発点です。
それができないと、子どもを守る国に日本はなっていかないと思いますよ。
だって、子どもはふたりの子どもでしょう?
パパは原発賛成、ママだけ反対。そんなことでどうするの。
そういうタイプの人がすごく多いんですよ、いまの日本って。」

ふるい企業戦士というイメージにしがみついている夫を変えないとダメって、
日本の構造は2004年とほぼ変らないというのかしら。
原発が三度メルトダウンしたというのに!?
金曜日の25万人を、11月11日、100万人のデモにするには、
その壁をなんとかして越えなければならないわけか。
鎌仲ひとみ監督は、原発反対の映画を引っさげて、日本全国を歩いている。
その彼女の実感がこうだとは、おそろしい。

貧血を起こした人が自動販売機のほうへ行く。
何度コインを入れなおしても、珈琲もジュースもお茶もガシャンと落ちてこない。
そういう時ってあるよねー。自動販売機にまでバカにされる苦しいとき・・・。
彼女はひっきりなしに片手で、自分で自分の身体をマッサージしている、
ふだんもよく具合がわるくなって、整体に行ったりするヒトなのだろう。
私なんだけど、タイミングが悪くて、どうしても声をかけられない。
指圧だってできるのに。
「ありがとうございます、でも、もう大丈夫ですから」
彼女は先刻助けてくれた人にくりかえしそう言ったにちがいない。
あの様子ではたぶん私にもそう言うだろう・・・。
そう思う自分をくだらないと感じる。
単純なことがすばやくできる人は、なんでもできる人だ。
いま考えても、よくなかったなーと心のこり。

颯爽とした鎌仲ひとみさんの、
監督のトークつきの上映会にぜひ参加してみてください。おススメです。