2013年3月3日日曜日

神奈川県立近代美術館  葉山 3/2


葉山へ出かけた。
ぜひごらんなさい、と関上さんが教えてくださった絵を見る。
松本竣介の<立てる像>1942年。
私が生まれる前、戦争中に描かれた絵である。
なにかで見て知ってはいたが、実物はおそろしい迫力、
背後の色彩が死人のように蒼白なのである。
ゴッホが死の直前に描いたカラスの飛ぶ麦畑の絵を連想した。
死神がすでに画家の生命を捕らえて、死が行進を始めているというような。
あるいは、時代の趨勢はこうなのであるという画家の見たこの国の様相。
奇怪な雰囲気。
彼は結核で1948年36才で死んだ。
「真白な地の上に黒い線を一日引ひてゐるだけで、僕の空虚な精神は満足する。」

若いころ、西周(にしあまね)についてなにひとつ知らず、
知人の息子さんが周くんで、いつも周という字はどう読むんだっけと四苦八苦した。
たぶん周君のお父さんは、「哲学」という日本語を創った大学者にユメを馳せたのだろう。
美術館の今回のタイトルは、
美は甦る  検証・二枚の西周像  -高橋由一から松本竣介まで


春の海を見る。
    

    (この展示は3月24日まで。月曜休館 Tel 046/875/2800)

追記
上手に御案内できないけれど、日本の近代美術を眼でたどることができる。
高橋由一をはじめとして、
たとえば思いもよらず、前田寛治、関根正二、藤田嗣治、村山魂太、岸田劉生、
佐伯祐三、永井 潔、内田 巖などなど、多数の画家の作品が展示されているから、
そしてそれぞれが少数であるから、思い思いに、見ることができる。
つかれたら、庭に出て、海をながめ、また美術館にもどるということもできる。
春のはじめにふさわしい一日をすごすという感じ・・・。