2015年1月17日土曜日

「女の平和」ヒューマンチェーン 1/17


7000人を数えたと、女性たちの鎖が国会議事堂の周りを4度目に囲んだ3時、
集会の最後に司会の女の人が叫んだ。

集団的自衛権の拡大に反対し、憲法改悪に反対する「赤い」布切れの、赤赤、赤の人垣は
どことなくユーモラスだった、声は出さなくても高笑いが聞こえてくるような、それが赤。
赤は強靭。赤はすごい。赤は自己主張に適した色合いなのだと風の中で知った。
赤旗の色とまたちがう 、ファッションということばさえ連想してしまう自由気ままな赤赤赤、だ。
大柄な素敵なショール(赤なのだ)のエキゾチズム、赤に合わせたアンゴラの帽子の絶妙な
中間色の配合。かと思えば、どこで見つけたのか真っ赤なすごく大きな扇子なんか持って。

国会包囲網をつくるべく、たえまなく通る人に見とれ、
「男の方があんなふうに赤いものをつけているのもステキですね」
オリハラさんが気持ちのよい控えめな声でそう言った。
初老の紳士がオーバーコートの襟の両方に、赤い小さなバッジをつけていた。
すてき。オリハラさんは地下鉄の階段を上がったところで知り合った温かい若い人で、
こんな人に会えたことだって、今日という日の本当にすてきに良かったことだった。
なにもかもに気を惹かれて 、私はデモンストレーションを観察した。
思いがけない愉快な時間だった。

私たちはみんな寒くて寒くてガタガタ震えた。ビルの谷間の寒風は政府のように冷たい。
1時から 3時まで、安倍政権に対する怒りと反感と、そして新しく獲得した運動のかたちが、
自分たちが今ここにいて、どうやら呼びかけ人のアッピールに応えられたことが、
国会を囲もうとしてすごくガンコに頑張っていることが、
笑ったりもして怒りながら手をつなぐと、幸福感を出現させるのである。
あんまり寒いから、私たちが風に逆らってギュッとつないだ手には必死の力がこもった。
混じり気のない連帯感を、おかげでみんなが感じたわけである。

こんど赤い「女の平和」ヒューマンチェーンに来る時は、よし、
と私はいろいろ考えた。