2015年1月27日火曜日

日曜日のライブ、ピンポンパンク


西荻で行われたピンポンパンクのライブは、
非常に重量感のあるものだった。
各バンドの演奏の充実ぶりときたらたいしたもので、
優れた技量、真っ当至極のヒネくれ振り、荒唐無稽、嘲笑、冗談、軽蔑、などなどなどは、
演奏者たちの狙いどおり爆発的に会場を直撃し駆けめぐって、
主催者アサくんのいわゆる「オーディエンス諸君」を、私もその一人だったが、
愉しく有頂天にした。

これは彼らの周辺が、みな20代どころか30代も半ばを過ぎ、
40代の大人に移行しつつあることと無関係ではないだろう。
魂と技量の円熟期がやってきたのだ。
ここからが黄金期、見応えのあるライブセッションの行列だと、
今日は楽しんでしまえと各種ビールなんかどんじゃか飲んでいると、
ますますそんな気になってくる、これからに期待してしまう。

それなのにみんなが岐路にいる。
人生の分か去れ道から、係長やら部長やらになりに企業に吸収合併されていくのだ。
離合集散はバンドの常で、覚えている限りの昔からこうだったとは考えるが、
2015年の二者択一の厳しさは実に深刻である。もうバブルの泡もない時代だ。

思うに音楽とはユメのような物質で、
生活の苦しさにギリギリと締め上げられれば締め上げられるほど、
音質はやわらかく純粋になり、主張は強靭になって人の心をしっかりと捉える。
ああ、苦しい。ああ、なんてばかばかしい。
美しいものが絶対的にキープできない世の中で、大事なことをあきらめて生きるなんて。
いったいそういう時はどうすればよいのだろう!

「オーディエンス諸君」の最前列にいるアサくんを、眺めるのもひとつかなと思ったりも。
彼のビジュアルランゲージとでもいいたいような、音楽的なすがたを眺めれば。
それは私たちに、思えば叶うという生き方や哲学を、思い出させる。
私たち自身を、実に自然な状態に戻し、各人の自由にもとづく自由を強化する。

日曜日のライブ、ピンポンパンク。
最後は当然エッセンシャルの演奏だった。アサくんが私をマイクの前に呼んだ。
あとで考えたことだけれど、ながいことかかってここにたどり着いたという気がした。
ライブハウスで思ってることをいくらでも言っていい、と言われるなんて。