2012年2月13日月曜日

医療の話 マイケル・ムーアの傑作 「sicko」

歯医者さんについて書いたら投書が。
ヒザが痛くて整形外科医院にかよっている人から。
きたない字で読めるでしょうか、とつつましく書いてあって、
言うに言われない気持ちらしく、事実がならべて書いてある。


① まずはじめにあける入り口のドアにドーンと
「支払いのトラブルになるような場合は診察を断ります」
の貼り紙が。

② 次に受付のところに、
「医師と患者は対等ではありません」
の貼り紙が。

③ 待合室の椅子に座り、前を見ると大画面にテロップが。
「節電のため閉院時間ギリギリに来ないで下さい。
一人でも患者さんがいると全室の電気を
つけておかなければなりません!」
横を見たら、横にもおなじテロップが。
でもこのへんでは整形外科はここしかなくて、いつも患者さんは数十人います。


・・・・日本人の底意地悪さには胸をうたれる。
こういう冷淡は、憎しみしかうまないものだ。
この欲ばり。この恩知らず。このしみったれ。みんながそういう感想をもってしまう。
お医者さんの思い上がりって、国家の医療政策を後ろ盾にしているのよね。

マイケル・ムーアというアメリカ人がいる。
「ボーリング・フォー・コロンバイン」でアカデミー賞。
この監督のドキュメンタリー映画 「シッコ  sicko」は、
ー「病的」「病んでる」「異常」という意味ー
おもしろくてわっかりやすくて、患者必見の傑作だ。
国家が税金を、医療と教育にどうつぎ込んでいるか、
カナダ、フランス、イギリスと、マイケル本人が巨体を運んで探訪、ニコニコ。
しまいにアメリカの宿敵キューバにまぎれこんじゃって、
貧乏キューバと金持ちアメリカの医療を比較。
ドキュメンタリー映画である。
映画の発端は9・11の時、病気を背負い込んだ現場の消防夫や看護婦が、
その後なんにもかまわれないで破滅していくすがた・・・。
なんとこの映画はアメリカの国民健康保険についての話であって、
支払い不可能なほど高い国民健康保険料、不当に高いクスリ代、高飛車な医療制度、
ああ、お前らは税金を横領してるんだ、と、
陽気な態度のまんま政府をガンガン告発した映画である。

日本のことだけど、国民健康保険(三割負担)をつかって、まあ五分間の診察。
たとえば私が三千円病院窓口で支払うと、あとは税金が七千円を充当。
七千円は現場に登場しないから、医者は患者を「三千円」と思うのではないか。
だけど後で充当される七千円は!?
国民健康保険つまり「税金」が払っているんでしょ?
その税金とはみんなが納め、私も納めたお金のプールでしょ。
病院には、もちろん、あとになるけどちゃんと支払われているのでしょ。
しかも「医療器具が高くて」とかの理由で、医者に優遇税制またも税金の影。
そう考えると、医者って立場的には公僕なんじゃないの。
どこでどうやって傲慢になれるんだか、少なくともふつうの態度を心がけてほしい。

私、どうもよくわかんない。
みんながこんなに不安で明日をも知れない生活をしているのに、
なんでちょっとでも豊かな人が、こんなに底意地が悪いのだろう?
人助けの善良な仕事ができるって、それだけでも幸運なのに。
無意味な一生を送らないですむことって、文字どおり有難いことなのに!