2020年11月5日木曜日

司馬さんという流行


ビックリしたことに、対訳・「21世紀に生きる君たちへ」には、
コロナのコの字もでてこない。それはまあ、あたりまえだけど。
20世紀日本を席巻した国民的流行作家司馬遼太郎の遺言、
出版社は朝日、親日家ドナルド・キーン氏もかかわって、
21世紀がやってきて3年目に8刷り発行の・・・。

どうも、あたりまえじゃないのは、
資本主義ここに極まれり、という現実が基本的に予想されていないことか。
あぶないぞ、あぶないぞと一応いいながら、
司馬さんは遺言でも、江戸期の、西暦1800年あたりの緒方洪庵にもどる。
日独伊3国同盟が日本人になにをもたらしたかには、触れない。

そうかといって、そんなことに注目してばかりいたら、
うれしくない本ばっかり書くことになって、どうなるのだろう。
日本人にはいいところがある、なかなかいいところがあると思いたくて、
たくさんの人たちが司馬さんの本を愛読した。
企業戦士たちも自分の必読文献とかいって、不可思議なことだった。

自分に都合のよいところだけを採用してバブル期をすごした、
私は自分のこともそう思う。なんとかがんばって子どもを育てたが、
地球の不幸がこれほどハッキリしても、私個人の意見をもつことが難しい。
でもそれで、こんなおとな達を親世代にして、日本人は、私たちの子どもは、
この21世紀を、どうやって生き延びるのだろう。