2011年9月8日木曜日

ワシントン ナショナルギャラリー展へ


アメリカのナショナル ギャラリーが今回はたくさんの絵画を
貸し出してくれたのだとか。
朝はやく美術館に行ってみたら、もう行列ができていたけれど
それでも比較的ゆっくり、見たことのない絵もたくさんながめて、
散歩のような時間を過ごした。

印象派、それから後期印象派とよばれる人たちの作品。
ロートレックの『カルメン・ゴーダン』を、とても美しいと思う。
小さい絵が金色の素晴らしい額に入っている。

働きどうしらしい、そんなに若くもない黒いブラウスの女。
灰色の荒れた手の彼女は、暗い壁を背景に、
棕櫚の鉢植えの前にすわり、光の来るほうを荒々しくみつめている。
けわしい横顔とまっすぐな姿勢の緊張。
ロートレックがとらえて描きだした外からの光が、
この女のあかい前髪をやわらかくふわりと輝かせ、
そのやわらかな光の放射が、暗黒を照らすランプのように、
絵の中の彼女の、灰色がかったきつい青い目、不満そうな口、
白い首や、寒さで赤らんだ頬や鼻、そういったなにもかもすべてを、
すばらしく美しいものに、
美しいとしかいえない姿に変えてしまったわけである。

とらえられた永遠。
きびしい労働のみが可能にした美の領域。

トゥルーズ・ロートレック (1864-1901)