My Mother said that I never should play with the gypsies in the wood, The wood was dark; the grass was green; In came Sally with a tambourine. I went to the sea-no ship to get across; I paid ten shillings for a blind white horse; I up on his back and was off in a crack, Sally tell my Mother I shall never come back. -Songs of Mother Goose-
2012年5月15日火曜日
「母の日」
「母の日」に、なんのひっかかりもないのが長男で。
自分の不始末の帳尻合わせに、4才の子をよこして、自分は夜中の一時に来る。
母親は前からの用事でこられないから、この子は初めてひとりで来たのである。
いい子でいようといっしょうけんめい。
でも、元気で健康、ふざけちゃって笑いだして、少しもじっとしていられない。
ところが、リンドグレーンの絵本≪赤い目のドラゴン≫を読んでやると、
はるか夕陽のかなたにちいさなドラゴンが去っていってしまうという物語を、
虫歯がいたむというような、哀愁の街に霧がふるのだというような、
なんとも沈痛、哀れがわかる顔をして、チーンときいているのである。
朝の六時には、おそくもどったオトウサンを起こさず、階段にこしかけてガサゴソ、
比較的だけど、静かに静かに、ひとりであそんで待っている。
音が気になってオトウサンの弟が部屋のドアをあけると、まだ4才はもうびっくり仰天、
おどろいた顔で、背中をぴーんとまっすぐにして立ちあがってしまい、
それから外へと、うれしくて飛んで出て行くのである、オトウサンの弟とふたりで。
しばらくもどってこないから、やれやれと思っていたら、公園から傷だらけになって
帰ってきた。泣かなかったとしきりに言うけど、小山の斜面から全速力で駆けおりて、
とめるまもなくひっくり返ってころがり落ちたのだ。
でも、こどもは絆創膏がだいすき、ひとしきりあっちやこっちの擦り傷をたのしむ。
長男が起きてくると、椅子にのぼりまるっこい腕をオトウサンの首にまきつけ、
くねくねごろごろ。冗談にキャーッと何回でも笑って、おおさわぎだ。
裏の小山に今度は父親がダンボールをもって連れていったけど、アッというまに
気の毒なぐらい早く、もどってきた。
「オトウサン、おなかがいたくなったんだって」
二日酔いかしら。
長男は、朝から晩まで、晩から朝まで働きどうしという商売、タイヘンなのだろう、
外気のなかで遊んでやろうとしたら、モロモロっと気分が悪くなって、
吸血鬼じゃあるまいし、
「太陽がいけなかったみたいだ」
とかいってうちの床にノビてしまった。
どんなにふざけたオヤジか全国公開しろとオトウサンの弟はいうけれど、
まー、しょーがないわよねー。疲れてるんだろうし。