2012年7月2日月曜日

まともな論理を求めて

木曜日 朗読の会。
金曜日 若い母親たちの集まり。
土曜日 パーティー。

全部家でのことなので、ものをどけて掃除がしてあるふうにするのが大変だけれど、
そんなことより、来てもらった人に後悔させないようにって、それがなかなか。

日曜日になって、東京平和映画祭に午後から出かけてパネルディスカッションをきき、
短編映画「フクシマの嘘」 ヨハネス・ハーノ(ドイツ)レポートを観て、
上杉 隆(自由報道協会)さんの講演を聴いた。
上記三日間のあとだったので、なんだかもう雨は降っているし、
くたびれたのかなんなのか、
死んだなにかの虫みたいな気分がしていたけれど、
ヨハネス・ハーノ監督のドキュメンタリー映画が素晴らしく、
これこそさがしていた意見だ、無理しても出てきてよかったとうれしかった。

ヨハネス・ハーノ氏は、ドイツ最大のテレビ局 ZDF の東アジア総局長である。
調査報道の看板番組を担当、ベルリンの政治特派員であった。
大震災の起きた昨年3月11日、彼はちょうど東京にいて、
即刻福島第一原発に駆けつけ、内情を知る人たちに直接インタビューし、現場に潜入、
原子力むらにひそむ背後関係をたどり、さぐり、追いかけ、
「なにがどうなっているのか」「なぜなのか」を映像化した。
それがこの「フクシマの嘘」である。

29分ばかりの短い映画。

私が胸を打たれたのは・・・、この映画のまともな「論理」にだった。
私たちの国を襲った惨劇の正確な把握。
天災と人災にまみれ、嘘にひっかきまわされてワケがわからなくなり、
なんだかおそろしいほど完全に見失ってしまった私たちの人間性。
それが外国人によって発掘され、日本人の姿を軸に事態が解明されてゆく。
私たちが見たい知りたい日本人の姿が、かろうじてそこにある・・・。
ハーノ氏はたくさんの関係者にインタビュウーしたにちがいないが、
29分間の画面に選びだされて登場する日本人たちの発言の、
善と悪、真実と嘘を、疑問の余地なく整理してみせた論理的剛腕がすばらしい。

私は証言する映像のなかに管 直人前首相の姿があったこと、
また佐藤栄佐久もと福島県知事の戦いがとりあげられたことをうれしく思った。

デマや誹謗中傷の洪水の中から、故意に消された努力と苦闘をひろいあげること。
それが、ドイツ人の記者ハーノ氏がした作業のひとつである。
人間の勇気や理想主義、責任者としてのまっとうな苦闘を、
混迷の中から見つけ出し注目し味方すること、論理的にバックアップすること
いま本当に一番だいじなことはそれだと私は思うのである。


「フクシマの嘘」はYouTubeでみることができます。