2014年1月3日金曜日

中華街と元町へ、


きのう二日は自動車道路が当然のことながら渋滞。
途中気を変えて、そんなことをしたこともない正月の中華街と元町を歩く。

中華街はものすごい喧噪のなかにあり、
思いつきで到着した私たちなんか、どこに行けばよいのか見当もつかない。
人が一杯満杯の祝日って楽しいものだ。
あたりは空気ごと騒然、どんな音がしていたのか忘れちゃったけど、
鐘や太鼓、中国なまりの日本語での呼び込みの声。どこで食べるかと相談する声。
足音や夕暮れの街がたてる音。
中華街なので、赤と金色と極彩色、ギラギラである。
ギンギンギラギラの目もさめるようなお土産やさんを見る。
すごい。竜の置物が安いのは安いガラス玉を、高いのは有難そうな水晶玉を、
ドンジャラランと片手にもって、カッとこっちを睨んでいる。まあホントに幸運を招けそう。
カエルだってそうだ、金泥をおびた緑の大蛙が赤い舌をデロリと跳ね上げて、
イヤなもんだけど買いたくなっちゃうんだから、おかしい。雰囲気に呑まれる。
買えるもんなら買っちゃったと思う。
だってもう本当にあからさまに「お金がカエル」お守り。
この迫力がいい。そうねそうねと思ってしまう、そこが楽しいのである。

去年は大晦日からお正月にかけて、タケシは遥のところにいた。
オランダの年越しはアジア系移民たちの爆竹と花火で、
毎年大ヤケドする人が何人もいる死人もでるというけど、
なにがあろうと毎年めげずに、野放図華やかドカンドカン。
ロッテルダム市当局の警告なんかてんできいてくれないんだとか。
タケシは懐かしいんだろうなと思う。

中華街でかしこくも感じのいい中華レストランに入る。
よくもこんなに安くすんだとミラクルな支払い。極端極小注文。
私は元町が見たい。
当然のことながら、元町は元町。中華街とはまったくちがう風情である。
昔からの舶来通りというか。これはこれで目が楽しい。
以前は、ここでしか触れることができない舶来未知の商品が数々あって憧れたけど、
そういう鎖国みたいな時は遠く去り、今はもうそんなこともない。
ほかのところとセンスが多少ちがうだけ。
元町のためにも、歩く人のためにも残念な気がする。
貧乏でなにも買えなかったころ、ガラス越しに眺めた輸入タオル屋さんが営業している。
お正月値段のさらに10%引き。閉店時間はとっくに過ぎてる。おきゃくさまは運がいい。
運がいいのか、わるいのかわからないわよねー。

珈琲店に入る。
嗚呼ヨコハマに住みたい、と思うような胸にしみる珈琲をブラックで飲んだ。

元町みたいなところにいると、
さっきの大ガエルの御利益あって、ボカスカ、ボカスカと買い物ができ、
札束をブン投げるようにつかえたらなーとつくづく思う。
「バカなことをいうんじゃないよ、お母さん、そんなことみんなが思ってるわよ。」
遥がここにいたら、きっとそう言うと思って、オランダの娘がなつかしい。
だけどさあ、べつになにか欲しいわけじゃないけど、
宝ァー・くじ・は買っわなーい、という気分も、この際つまらないじゃないの。

また歩いて歩いて、駐車場まで街をながめながら、夜風に吹かれてもときた道を行く。
今度きた時はあそこを見よう、ここも歩こうと、できるかどうかわからないことを言って。
タケシさんのおかげで、いい日だった。