2016年2月12日金曜日

オリアナ・ファラーチ著 「戦争と月と」


新しい装丁の単行本を手にとり、昔からもっている文庫本と同じものかと思う。
文庫本のタイトルは「愛と死の戦場」。
女性記者による激戦地ヴェトナムのレポート1967年。

「私は人間を知るためにここに来ている。殺すか殺されるかという境遇にある人間が、何を考え、何を求めているのか知るために。私が信じていることを証明するためにここに来ている。
つまり、戦争は無益でばかげており、人類の愚行の中で最も野蛮なものであるという証明である。心臓を別の心臓に取り替える外科医が称賛される社会が、いかに偽善的であるかを説明するために、私はここに来ている。そして、健康な心臓を持った百万もの若者が、国旗のために、屠殺場の牛のように死にに行くことを承認している社会についても。物心ついた時から、私の心を痛めているのは、国家、祖国、というこの崇高な言葉の名において、殺し合うのは尊いことだと思わされていることである。そして、なぜ強盗が人を殺すのは罪であり、なぜ軍服を着ていれば人を殺すのが栄誉なのかを話してくれた人はいない。」