2020年5月2日土曜日

夢をみた


私は絵を描いていた。古い木造校舎の職員室みたいなところに、
なぜか家族親類がみんな集合している。
その人たちは大騒ぎして、
みんなが、もうおとなになった弟の世話をやいていた。
私はユメの中では6人も7人もいる兄弟姉妹の真ん中へんの妹で、
そこにいる人たちみんなを、絵に描こうと決心している。
昔の机、むかしのだるまストーブ、昔の本や書類でいっぱいの広い教室。
がたがたと木の床を歩きまわる懐かしい音。
大騒ぎしながら、記念写真みたいに、部屋にいるみんなが2列に並んだ。
とっくに死んだ人もあたりまえのように騒いでいる。
ふしぎなことに、そんな気持ちのまま、やわやわと構図がきまり、
私の描く絵は、すぐに完成した。
ユメなのにみんなが幽霊じゃなくて人間、
大騒ぎしている声は活き活きと大きく、うるさい程。
ところが、エンピツ画のように、子どもの本の挿し絵のように、
私たちみんなが動き回る姿は線画で無色透明なのだ。
そして、みんなはもはや、むかしの子どもではなかった。
兄弟姉妹も親類も、なぜかばらばらと老人になっていて。

私の描いた絵は、思い出すと、ド・ラ・ヨングの「あらしの前・あらしの後」の
挿し絵そのもの。たぶん私はルトという少女の代理だったのだ。

夢の中で私の描く絵は、さっさと出来上がった。
大騒ぎの最中も、私はよく知っているみんなのことをスケッチしていたから。
それに長方形のお弁当箱みたいな、
アルミのフタをかぶせると、なぜか絵はひっくり返って、
集合写真のように調整され、葉書大の絵はがきになった・・・。
魔法のようだった。

それでおしまい。
起きてから子どもの本棚を一生懸命さがしたけれど、
「あらしの前」も「あらしの後」も、見つからない。
傑作だったのに。