2020年6月13日土曜日

喜寿という通過点


雨だ あ
降ってる
不思議にのんびり
わたしってそういうトシなんだ
いい人になりたくて
つい努力の
毎日後悔
ところが ふしぎふしぎ
喜寿っていい
77・2、3日たったら
青い空のなかにいて
ふんわり白い雲を見てるみたいに
なってきた

理由なんか
わっからないが
わたしは のんびりしてる
77年も生きて?
後悔ばかりの
苦しさが
四角なヒナギクの畑みたい
微風にゆれるのだ
そのヒナギクって小さくて
ふしぎ、ふしぎ
とそう思う


いまの私の一生の、疲労の果ての、ふらふらとした心の総括は、
アンドレ・ケルテスの写真集にあつめられた人々の姿にそっくりだ。
 『読む時間』On Reading 創元社
さまざまな文字を読む人たち・・・。
私はとりわけ、貧しそうな姿が文字を読んでいる姿に気をひかれるが、
幸せがこんな空気感をもって迫ってくる写真集は、めずらしい。
どんなに苦しい時でも、人生には、没頭できるしあわせな瞬間がたくさんある。
それを、この写真集ほどはっきり教えてくれる本って、見たことがない。

ケルテスは1894年うまれ。この写真集は古典だそうである。

『戦場の秘密図書館』と、この『読む時間』は、
必読の書である。だれでもが読める。子どもでも、老人でも。
ヒトという、うまくゆかない生物が、
しかし純粋な幸福をかならず探しだしてしまう者だということを、
ちゃんと知らせてくれる本。