2020年6月22日月曜日

日曜日



ヒトと待ち合わせ。
1時間もはやく着いてしまい、こまって駅前の書店に行き、
「民主主義をあきらめない」という5年前に刊行された岩波ブックレットを買った。
喫茶店に入って、梅緑茶を飲みながら、時間をつぶす。
梅緑茶(冷たくした緑茶に甘酸梅の実)一杯で45分。

ブックレットの、内橋克人氏(「鎌倉・9条の会」)の文章がなつかしくて。
講演会のお話から、内橋さんが民主主義について語りおこしている。

2011年の東関東大震災、地震に続く原発事故の直後、
大船で開かれた講演会に、私は出かけた。
おどろくばかりに会場いっぱいの人、ひと、人だった。
大江健三郎、内橋克人、なだいなだ、3氏の講演会。
チケット前売りの段階での演題はたしか「故・井上ひさしさんを偲ぶ」。
当時、私は幼稚園の園長で、毎週土曜日は休日だったけれど、
大震災直後であり、急にどんな会議や用事ができてしまうか、
もう迷いにまよったあげく、むりやり講演をききに出かけたのだった。

この3人の、おそらく日本で一番賢いにちがいない人たちは、
(と私は大船にむかう電車の中で必死になって考えた)
この未曽有宇の大災害についてどういう考え方を選択するのだろうか。
原子炉の大爆発について、私たちにどう対処せよと語るのだろうか。
偶然にも今日講演が行われるわけだからこの話になる、きっとそうなる。
万障繰り合わせてでも、と私は思った。講演を聴こう。
その上で園長職にある自分の考え方をさぐりたい、確信を得たい。
そう思ったことをよく覚えている。
当然のことだけれど、園長という職務上、
幼稚園の若い親たちや、職員のことで私の頭の中はいっぱいだった。
幼い子どもたちの姿やかたちが、浮かんでは消え、消えては浮かぶ毎日だった。


内橋先生は今もお元気だろうか。
あれからもう10年である。それでもこのブックレットの内橋さんの文章は
亡くなった「鎌倉9条の会」のお仲間を哀惜することから始められていた・・・。