2011年11月15日火曜日

クリスマス・リース


上北沢に行くと、ついついそこの花屋さんをのぞく。
買うときも買わないときもあるけれど、とても楽しい。
店内の空気がシンと冷たくて。
たくさん用意された異国の花や木の枝の、種類や置きぐあいがよく、
花瓶もそうだがふつうのブリキのバケツまで素敵に見えてしまう。
水がなみなみと行き渡って、呼吸がラクになるという感じ。
クリスマス・リースをさがすと、大輪の薔薇で作ったリースが、
今日はひとつだけコンクリートの壁にかかっている。
値段が、ものすごそうだと思う。
「リースは、ここにあるものだけですか?」
臙脂色のカラーを3本とユーカリの枝を買ったあとでたずねたら、
奥の作業場のほうにありますと若い人が言った。

なんともいいのは、鶏頭の花のみ、のリースだった。
中原淳一的な、色合いもどっしりしてあやうく野暮になりかねないような。
臙脂、黄色、牡丹色。なるほど、これだってもすごい値段である。
「鶏頭が思いのほか、たくさんいるものですから、あれは」
初老のご主人が言う。この人が作業場でリースを作っているのである。

椅子をだしてもらったので、ゆっくりと腰掛け、
自分の家の壁によいような、簡素なリースを私は作ってもらった。
一時間ほどくださればお作りしますと言われて、嬉しくなって。
私が気に入ったリースは、樹の枝葉ばかりで出来ていて、台座は、
オリーブの枝を編み上げて作った、地味めなものだ。
そこに小さな茶色の実をつけたスギの大枝をななめに取り付け、
私はリボンが好きじゃないので、
その代わりに枯葉や松ぼっくりを多めに飾ってもらって、出来上がり。
可愛らしいけど野趣があり、野山の冬が家の中に引っ越してきたような。
どうです、ちょっと素敵でしょう?