2015年9月16日水曜日

国会包囲デモ・感想


きのうは、オランダで暮らす娘はべつとして、私の家族が孫にいたるまで、
デモに参加した。私は昼間参加。息子たちは仕事がおわってから、夜の集会へ。
私の人生もこれで一区切りだ と思うほど、ホッとする。
平和国家転向沈没の危機をまえに、家族の誰かが、今、知らん顔というのはつらい。

鎌仲ひとみさんは映画監督であり、私にとっては大学の後輩であるが、
以前、彼女が試写会で聴衆にこう言ったことをよく思いだす。
「みなさんが運動を成功させようと思うなら、まず家にかえって、夫と話あってください。
サラリーマンはみんな企業戦士なんですから。けっきょく原発賛成派が多いんですよ。
その壁を越えられなければ、反原発運動に勝利するって難しいとワタシは思いますよ」
若い女性が多かった会場は、鎌仲さんからそういわれたとたん、苦笑いが充満、
・・・空気がひるんだようになったのである。

そうだホントにそうだ。でも、難しい、たぶん自分にはできない。
みんな夫を頭に思い浮かべて、ドッと疲れているんだろうなあ、と私は想像した。
だってそれは本当に大変なことだから。

私自身は特殊ともいえそうな家庭で育ち、子どもの時から家の中は本だらけ。
周囲は知識人と文化人のテンコ盛り。高学歴だし、自分の仕事も「理屈」の周辺をグルグル。
そんな私でも、わが子を相手に議論ができたかというと、そうはいかなくて。
母親になってからの目標はまさしく、子どもと議論ができる間柄になりたい、だったけど、
非力なので、ラクではなく、なさけなかった。

それが、別々に、私の家族はみんな、国会を包囲するひとりになったのだ。

今日、国会安保公聴会でSEALDsを代表して奥田愛其さんが意見陳述をした。
その全文を私はユーチューブで読んだ。
SEALDs とは、Students Emergency Action for Liberal Democracys
すなわち、自由で民主的な日本を守るための学生による緊急行動。

国会で彼が語ったことのなかには、こういう言葉があった。
   
   デモやいたるところで行われた集会こそが、「不断の努力」です。
   そうした行動の積み重ねが、基本的人権の尊重、平和主義、国民主権といった、
   この国の憲法を体現するものだと私は信じています。

   私にとって、政治のことを考えるのは、仕事ではありません。
   この国に生きる個人としての不断の、そして当たり前の努力です。
   私は困難なこの4か月の中でそのことを実感することができました。
   それが私にとっての希望です。

彼はこういうことを述べた。

   私たちが独自にインターネットや新聞で調査した結果、日本全国2000か所以上、
   数千回を超える抗議が行われています。
   累計して130万人以上のヒトが路上に出て、声を上げています。
   また声を上げずとも、疑問に思っている人はその数十倍もいるでしょう。

こういうことも言った。

   政治生命を賭けた争いだとおっしゃいますが、政治生命と国民一人ひとりの命を
   比べてはなりません。

   ひとつ、仮にこの法案が強行に採決されるようなことがあれば、全国各地で
   これまで以上に声が上がるでしょう。連日、国会前は人であふれ返るでしょう。
   次の選挙にも、もちろん影響を与えるでしょう。
     
   「三連休を挟めば忘れる」だなんて、国民を馬鹿にしないで下さい。
   むしろそこからまた始まっていくのです。新しい時代はもう始まっています。
   もう止まらない。すでに私たちの日常の一部になっているのです。