2015年9月27日日曜日

これから


安保法案がとおって以来、座標軸の根もとに立たされたような気がしている。
このさい自分の頭でシッカリ考えなきゃダメだ、と思うけれど、
急にシッカリできるわけもなく、欝々とするばかり。

東京新聞の投書欄で60才のマンガ家だという人の意見を読んだ。
「東京新聞よ もっと面白く」
この人のいわんとするところ。
新聞のどこを開いてもデモの写真に安保法反対の記事ばかり。
国民全部が安保法反対のような錯覚に陥る
読者誘導、偏向報道、一種のプロパガンダ・・・。
私のような安保法の是非を決めかねている者には親しみが持てない。
東京新聞は「面白い新聞」であってほしい。etc…

「私のような安保法の是非を決めかねている者」と言って恥じない立場って
スゴイんじゃないの。こんなに大騒ぎになっても決められない60才。
東京新聞には東京新聞の言い分があるだろう。
それが偏った読者誘導だと思うなら、図書館で読売新聞や産経新聞を読んでみて、
そっちの主張も自分で調べて。 あなたが信用するヒトの意見もきいて。
それでけっきょく、自分の考えはこうだ、と。
そういう努力をここまで来てもしない大人って、おかしいんじゃないの?

「来年の参議院選挙がラスト・ワン・チャンスだ」 と憲法学者が言っている。
          (雑誌SIGHT2015・小林 節慶応大学教授・弁護士)

あなたの生活している国ニッポンが戦争をする国になるかどうか。
あなたの国が、三権分立を失うかどうか。
ルールを守らない国会をどうしたいのか。 独裁者を許すのかどうか。
あなたは来年もまた選挙(ラスト・ワン・チャンス?)に行かないんだろうか。
あなたの立場をきめかねて?
そんな60才ってありか。そんなマンガ家ってありなのか。
損得勝ち負け、野党が次の選挙に勝ったとして、あとの始末ができるかどうか。
自分の立場を公表しようものなら雨あられと降ってくるかもの、罵詈雑言もしくは陰口。
もしくは失業。耳をすませばきこえてくる話はホントに嘘ばっかりだし?
心配、しんぱい、シンパイなのね。

日本には選挙というものがある。ありがたいことに無記名投票である。

そんなこともこんなことも、60年も生きてきたんだから自分で考えてみてくださいな。
若い人たちとちがって、あなたは成人になって40年もたった人なんですもん。
いつも「是非」を決めかねて。
気持ちがグラグラして、それがあたりまえと自分を肯定。
まわりもみんなそうなんだし、なにが悪いかと。
そういうことで今までやれたのは、戦争がなかったからなんでしょうが。



「銀の枝」・ローズマリ・サトクリフ・岩波少年文庫 を読んだ。
おもしろくて、おもしろくて3回ぐらい読んだあとで気がついたら、
あとがきのうしろに、もうひとつ、あとがきがあった。

短い文章。京都大学文学部大学院教授・南川高志先生の。
こども向けのよく考えられたすべり出し。話は映画「ハリー・ポッター」から始まる。
読んでみたら、こんなことも書いてあった。
                           *
ヨーロッパでは、最も優秀な学生は古典学を修めて大学を卒業し、社会に出て活躍した。
なぜか。エリートの条件がそれだった。
大学を出た、古典学の教養を持った人が社会を指導するにふさわしい人物という、
そういうものの見方が、19世紀の西ヨーロッパ、とくにイギリスやドイツで広まった。                                                      ー要約ー                    
                           *


それでも、世界大戦が2度。ナチスを抬頭させたでしょ。
人間は望ましい暮らしができる国を、なかなかつくれない。
どうしたらそれができるか、ほんとうにむずかしい。
しかし、そういう人類史の成果を学ぶという、古典的教養をガンコに捨てまいとする国は、
二枚腰、三枚腰で、自分の国のかつての間違いを正そうとするのではないか。