2020年7月24日金曜日

オアシスとブラー


きのう、今日と「ライヴ・フォーエヴァー」を観た。
90年代イギリスの、パンク・ロック・クール・ブリタニア時代を、
代表選手たちの「独白」で描きだしたドキュメント映画である。

11年半におよぶサッチャー支配が選挙で敗退、政権は労働党のブレアに。
政権交代の直後ダイアナ妃が自動車事故で死亡。

その前後を描いた娯楽?映画を当時ビデオで観た覚えがある。
エリザベス女王を演じたのは名優ヘレン・ミレンだった。
映画ではブレア首相そっくりの俳優が大活躍したが、
今回のドキュメンタリー映画「ライヴ・フォーエヴァー」に登場した
ブレア(ホンモノ)は、当時のニュースのフィルムをつかっているのだろうけれど、
輝くばかりに眉目秀麗。なのにインチキの看板みたい。
もうビックリだった。

たぶん、本場のチャンピオンともなると、時代と生活と気骨を反映して、
ロックシンガーは、若いころのモジリアニとかアポリネールとかエレンブルグとか、
ジャン・ジュネみたいな、そんな顔をしているんでしょうね。
権力と反権力と。どっちを志すかによって、それが顔に出てしまう。
政治家は、そうなると芸術家にかなわない。
 
私は、ロックバンドの歴史をまるで知らない。さっぱりわからない。
はじめは、このドキュメンタリー映画を、
一世を風靡したバンド「オアシス」の話だと勘違いした。
まーオアシスという名前だってわからないんだけど。
本場イギリスのロック・シンガーたちの、
それぞれの回顧、対立、論理の分裂に惹かれ、顔だちも見事だから、
つりこまれて観ていたが、どうもオカシイ。
つじつまがあわない。わからず見ているから当然だけど。

ノエルとリアムは兄弟で仲が悪いんでしょ。
それでこのふたりは労働者階級。
そして、ええとデーモンというひとは中流の出身で?
おんなじバンドか? いや、そうじゃないらしい。
この映画って「ブラー」と「オアシス」と。二つのバンドの対立の話なの?
ニルバーナって? 名前だけ知ってたけど男だったのか・・・。
ええと、なんで急にデザイナーが? 
美術の話をする人がなんで急に? ええと、もうなにがなんだか。
 
やれやれ、
息子が部屋に引っ込んでから、
もう一度、紙とペンを手に、なんとか画面の交通整理にかかる。
2回くりかえして見ても、テンポは速いし、私って最近のろまだし。
なにしろパンク。人によっては喧嘩ごし。
しかし、退屈するどころではなくて見れば見るほどおもしろい。
非常にきちんと構成された、よくできた映画なんである。

どうやら「ブラー」って中産階級4人 の、
「オアシス」は労働者階級5人の、バンドらしい。
仕組まれ、煽られた、パンクバンドの階級対立?
政権交代の際の、労働党のブレアによる、パンクロッカー「選挙」利用。
ひっかかった兄と、ひっかからなかった弟と。
なんだかみんなが、コカイン漬けだったみたいな時なのに。 

少しわかったから言うけど、私は、「ブラー」の品の良いデーモン、
「オアシス」の、いかにもパンク風な、脅迫タイプのリアムが好きだった。

息子によれば、リアムは見ての通り、すぐ殴りかかろうとするんだとか。