2020年7月4日土曜日

かたわらにおきたいことば


THE ABSENCE OF TWO
という写真集の装丁は印象的だった。
写真の中に浮かび上がる、ふたりの、ばあちゃんと孫。
カメラマンも、ばあちゃんの孫だから、
このカメラマンは、被写体になった孫の、大輝の従兄弟 なのだ。
彼が書いた文章は、彼のカメラが写し撮った写真のように、
事実をそのままに、あるがままに、
哀しく、弱く、のんびりと語って、
なぜか光りかがやくので、
私たちを悲しませる。

  何気なく過ぎていく二人の時間は、かけがえのない美しい時間となって
  静かに流れ続けていた。〈吉田亮人〉

このごろ年をとって、いつも思うことだが、こんなふうに思っていようと。
生きていればみんなが病気をかかえ、放射能や疫病で不幸にもなり、
しかし、みんなが、何げないふうに時間をかけがえのないものにしている、
その辛抱強さを学んで、笑ってくらしたい。