2012年8月23日木曜日

韓流ラブコメ


ビデオ屋さんに行ったら、韓流コーナーがあって、
この作品からハマル人が多い、とあった。
『華麗なる遺産』 という。
そういうからにはおもしろいのだろうと借りてきたんだけど、
それはもう、おっそろしく、おもしろかった。
やめられない。夜中になっても観てしまう。
ものすごい分量なのに中毒になるほどおもしろくて先が知りたい。
私なんかほかのことができない。眼にもわるい。いや冗談ではなく。

簡単にいえば、破滅した小企業の娘と、大成功した中企業の孫の恋物語。
まあ、なんというか、シンデレラとハムレット?が出逢った、みたいな。
で、ストーリーもよくできているし、俳優も脇役主役まったくもって適材適所、
むかしアレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」を読んだ時のように、
わくわくしっぱなし。ちょっと、なさけないもんだわよねー。
まんまとお伽話にだまされちゃうなんてねー。
考えるに、このラブコメの魅力は、美男美女たちのど真ん中に、
「食品会社チンソン」の現役社長、大資産家のチャン・スクチャが存在することであろう。
このおばあさんのいかにもの存在感と、企業家としての思想が、
山あり谷あり、ど派手なこのメロドラマの底流をなしていて、
エセっぽいんじゃないのとかウソみたいとか、そういう批判を許さないのよね、なんだか。
初老の女優さん、ええと、パン・ヒョジョン、チャーミングでリアル、うまい!

結論をいうと、
けっきょくのところ、「華麗なる遺産」をこの大資産家チャン・スクチャはどうしたか。
全株式を全社員に分配したのである!
オドロキだった。資本主義韓国における、ラブコメにおける社会主義・・・。
鳩山兄弟のママとずいぶんちがう。ブリジストンの娘でしょ、あのママは。
トヨタや日産や、東京電力とも、すごくちがう。
日本政府なんかの考え方と全然ちがう。
ドラマだからできるんでしょ、と言うのは簡単である。
ドラマにだってしないでしょ、日本では。

ドンドン人気が出ちゃって、最終的には40%を越えたという韓国での視聴率。

「華麗なる遺産」のヒロインは、お金を気味が悪いと言う。
お金に取り込まれてしまう人間の心がイヤだと言う。

尖閣諸島や竹島の、地下資源であるとか、領土問題であるとか、
日本はいま、ペラペラと燃える紙のようだ。
私たちは煽られっぱなし、この問題をどう考えたらよいのか正直なところわからない。
私がであうおじさんたちは、ハンコで押したみたいに、韓国や中国を悪く言う。
なんだかすぐ興奮する。よく考えずに言う悪口は、品が無い。
なんで、即座に資本家や軍国主義者のお先棒をかつぐのか。
そんなことしたら、こんどは誰が、戦争に行くのだ。
今日の新聞に「こういう時だからこそ日韓交流」という記事があった。
佐賀県唐津市で行われた小学校どうしの交流会が、ぶじ、成功したという。
私は民間レベルのこの姿勢こそ、尊いんじゃないかと思う。

どうしてかというと、
それが全部じゃなくても、ラブコメの中の話でも、
労働する者の立場を最優先しようという、そんな経営者をたたえる気風が、
韓国という国にはあるのかと、そう思えばホッとしてうれしいからだ。
たとえばそれが、ユメであっても、架空の話であっても、
おたがいをだいじにして、ゆっくりみんなで発展していこう、と、
日々そう考えることは、いい文化があるということではないか。
戦争だけはどうしても避けようという動きは、
おたがいがおたがいをだいじにという考えからこそ、生まれるでしょ。