2020年1月13日月曜日

大草原の小さな家・一考


この冬のあいだ、私はお正月だろうがなんだろうが、家にいて、
ソファの三つのクッションに頭をのせ、ローラ・インガルスの
「大草原の小さな家」関連の、いろいろな物語を読んでいた。
ぜんぶ読んで、しまいには息子にたのんで、求龍堂グラフィックスの、
大判の本を取り寄せてもらった。

疲れると私は、ローラの生家や、結婚してくらした家や、家族の写真、
物語に幾度となく登場する料理用のストーブ、手作りの家具、飾り戸棚、
手編みの美しいレースをあしらって作ったドレスとか、馬車とかを、
時々、はすかいに、ながめたりしていた。

今年になってから、ずっと病気だったから。

ローラは少女のころからメアリーの目の代わりだった。
コレラでメアリーが失明したあと、両親にそういわれたからである。
大自然も、人間も、家畜も、大吹雪も、春に咲く花も、天空の輝く星も、
すべてを、新しく縫い上げられたドレスやリボンに至るまで、すべてを
彼女は文字どおり目に見えるように、見えない姉に「ことば」で説明した。

だからこそ、
ローラの物語には、ことば以外にはなにも要らないのではないかと、
画家の手で描かれた素朴な挿し絵が、せいぜいだろうと、私は思う。 

少女の目に写る森羅万象についての、言語描写!
自分の両目でしっかり見て、つぎにメアリーに見たものをなにもかも伝える、
完全なるものに、さらなる説明がいるだろうか?

 大型本のなかの食器戸棚の実物写真をながめたりしていると、
ローラ・インガルス・ワイルダーの生涯がたどれてとても楽しい。
 しかし、なぜだか違和感があって、気分がわるくなってしまうこともある。
出版物の過剰な親切がそうさせるのか、自分が衰弱しているせいなのか。

 両方なんだろうかしら。