2020年1月14日火曜日

ヘンテコリンな年賀状


お正月がすぎてから、はらりと一枚、ヘンテコリンな賀状が家にきた。
あんまり奇妙だから、なにかの宣伝だろうと思って、本棚のところに、
ひとまず置いてしまった。紅白の派手な画面構成が異様というか。
しかし、手に取れば宣伝にちがいなかった。

白地に、少し葡萄色がかった真紅の、でかでかした「戦争の放棄」の文字。
派手だけど、戦争反対の宣伝なのである。
芸術ふうな「戦争放棄」の文字が、布だか紙だか、大きく天井からさがって、
その下の演壇に両手をついている、
白いスーツに白いカンカン帽(リボンが紅い)の へんな男。
うつむいているから顔はわからず。

びっくりして、ひっくり返してみたが、宛先しか書いてない。
またひっくり返す。・・・写真のてっぺんに、からくも説明があって。
「講釈師 岩田才之助として講談を一席。才之助は祖父の実名!」

奇妙奇天烈。
私の大学時代からの仲良しの夫なんである、このカンカン帽の伊達男は。

彼ら夫婦と私はもう50年も友達だけど、彼がなにかするたびに、彼女の
顔がうかんでしまい、今度は出て行って講談やったのか!と、どしーんと
ビックリする。
たぶん彼に対して「のびしろ・ゼロ」な友人は、私だけじゃないだろう。
これ観たかったなーと残念に思う自分が、今さらながら不思議である。
ついつい、ほめたくなって電話をしたら、
彼はワイワイと平和運動のあれこれを語って尽きることがない。
彼には日本国憲法に関する学問的労作が山ほど。
分類すれば、学問人自由人知識人であろうけれど、
善人だと思うし、まちがっていると思ったことはないけれど、

究極のところ芸術家なんだろうかなーと、首をひねるばかりの私である。