2020年1月8日水曜日

「日航123便 墜落の新事実」



著者は青山透子さん。
日本航空の客室乗務員(スチュワーデス)だった人である。
1985年8月12日の事故当日、
あの日、本当のところ、目撃者関係者たちには何が見えたのか。
彼女はそれらを掘り起こし、あらゆる角度から、公式のウソに反論した。
公式とはなにを指すのか、35年前の自衛隊、防衛庁、政府、在日米軍。
その公式の不自然なコメントに迎合した各メディア・・・。

 乗客乗員524名のうち生存者わずか4名。
未曽有の巨大ジャンボ機の墜落を「事故」ではなく「事件」だったと、
本書で彼女は調査した裏付けをもとに断定している。

 飛行機事故の原因をこんなにも、究明執筆できる力量は、
事実の隠蔽に手をかした権力側の高官たちには、恐ろしい脅威であろう。

200ページばかりの活字の大きな本だけれど、
この元スチュワーデスは、読み手の頭を混乱させずに、
膨大な資料を発掘し整理し、どこどこまでも殺人者を追いかけるのである。
・・・御巣鷹山の小学生と中学生の目撃の記録、横田基地への取材、
回答を得たアメリカ本土の空軍への質問状、などなど。
中曽根康弘(当時首相)の当日の動向、27年後に書かれた著書の中までも。

これは実に驚異的な 仕事である。
風化直前の「日航123便 墜落の新事実」すなわち過去の「大量殺人」を
絶対に許すまいとする一人のスチュワーデスの意志。
彼女が目撃証言をたんねんに追えば追うほど、本書のページからは、
失われた個々人の命に対する、書き手や目撃証人たちの悼みが表れて、
そういう感情こそ、かつて自分たち日本人が自然にそなえていた
人間の素質だったと、考えずにはいられなくなるのである。

「生命」とは、常に、だいじなものだということを。