2020年8月29日土曜日

安倍首相退陣


テレビを見ないので、首相が首相職を降りたことは聞いたが、
その際、報道関係者にどう挨拶したかは、翌日の朝刊を読んで知った。
新聞のどこをどう読んでも、自分なりの感想が浮かばない。
安倍政権は首相在位最長記録を達成したそうだけれど、
辞める理由にがっかりするばかりだ。

私が子どもだったころ(とこれはエーリッヒ・ケストナーの本の題名だけど)、
親が、むかしフランスの王様がこう言ったと話してくれたことがある。
「わが亡きあとに洪水よきたれ」ルイ14世だったか。
暴君の本質をついた物言いだと、父は言ってたっけ。
思えば、むかし洪水いまコロナ禍。

ケストナーはユーモラスな童話作家でドイツの人気風刺詩人だった。
彼が活躍した時代のドイツは、王政ではなく ヒットラー独裁である。
だからエーリッヒ・ケストナーは自分の本を国会前で焼かれ、追放され、
第二次世界大戦が終わるまで、12年もドイツ国内を隠れて逃げ回った。
ヒットラーは、王族とちがい選挙民(男だけ?)が選んだ「暴君」だった。

「わが亡きあとに洪水よきたれ」は、無責任と自己中心の 捨てセリフ。
戦後ドイツ人はヒットラーを「選んだ国民」として、自らの責任を忘れまいとした。
外交でも国政でも国をあげて四苦八苦した。今でもそうだ。
私たちはどうだろう。死んだあとなら洪水だろうがコロナだろうが来るがいい 、
と日本の親がまさか言うまい、思うまい?