2020年3月10日火曜日

図書館とはなにか 2


ただの習慣にすぎないと思って、それが幸福というただそんな感じで、
それなりに大事にして、過ぎた暮らし。
彼女も私も、思い出すかぎり書籍のまわりをずっとくるくるまわって、
活字と紙質、装丁。本棚、ノートその他 、その他。
まーとにかくどんな時も本から離れたことがなかった。

地下の書庫にしまった大量の本が泥水につかって、高崎市のトラックが、
彼女から掛け替えのないなにかを運び去ってしまったのだ。
言葉にするなら、いったいそれは、なんだろう?
なぜ、自分にはその話の正体がよくわからないのだろう?
いくら話をきいても、なにがそんなに苦しいのだろうかと想像しても、

・・・そう、自分だってそれはなんども、100回も200回も同じ本を読んで、
現実の苦しさから守ってもらったのに、そんなに愛読した本に飽きて、手放して、
今の自分とは異なる、子ども時代の愛を、ただ捨ててしまったのだから、・・・

でも、そういう後悔とも事情が少し違うのだろう。