2020年3月2日月曜日

公民館と図書館、休館の無謀


小・中・高を安倍首相の指示で休校にする、ときくそばから、
多摩市が、公民館と図書館を2週間閉館すると発表。
市役所はいったい誰の利益代表なのだろう。
学校のない日、生徒たちにどこにいろと、多摩市教育委員会は考えるのか。

コロナ・ウィルスに気をつけながら、
この頃の子どもはゲームが好きだから各人自分の家に引きこもり、
個人の責任で、そこはなんとか過ごして下さいとでも? 

保育園の子どもは(あるいは幼稚園児も)この枠組みから外されているが、
それもまた、本当によくわからないことだ。
働く両親をもてば、幼くても無防備でも、ウィルスに感染しようがしまいが、
幼児がこの規制から外れて、集団で一日をすごしてよいと、
あっちとこっちで結論がバラバラになるのはなぜだろう。

太平洋戦争の末期にも、これと同じことが行われた。
保育園と幼稚園は統合され、いまの言葉でいえば保幼一元化だが、
当時親たちは安心して「軍需目的のため」に、がんばって働けることになった。
小学生は集団疎開、中学・高校生は「徴用」すなわち国家命令で働かされた。
わが国の全面降伏に至る、惨憺たる敗戦の歴史は、
以前にもこういう政治からスタートしたのではなかったか。
こういう政治とはどういう政治か。
軍部独裁である。

「仲代達矢が語る 日本映画黄金時代」ーPHP新書843-を読んだ。
著者・春日太一が15時間にわたって聞き書きした記録の書物である。

「昭和16年12月8日に太平洋戦争が始まるんですが、」
話の始まりからして、仲代達矢の回想が、凄まじい緊張をはらんで展開する。
「はじめに」で春日が、この老優の語り口のやわらかさ、記憶の正確さ、
俳優ならではのざっくばらんな表現力について書き起こしているから、つい
らくらくと読んでしまうが・・・たとえなんでも、この本はやっぱりもの凄い。
映画と演劇が中心の回想録で、それが読者を惹きつけてやまない理由だが、
(なにしろオールスターキャスト!)
結果として仲代達矢という大俳優の怪力が、話を二重構造にする。
戦後から今日に至る日本人像と、それから映画・演劇が扱うわが国の歴史が、
彼のニヒリスティックな語り口で、 見事に再現されてゆく。

仲代さんには、これまでも出版物があったが、この回想録こそ素晴らしかった。