2020年3月13日金曜日

一角獣たち


本棚の奥に隠してあった3頭の一角獣をテーブルの上に置く。
むかし、1頭の角を折ってしまい、首飾りのガラスの葉っぱで
傷あとを隠した。ウルグアイから来た置きもので、
鎌倉に行くたび、同じ横丁の舶来風土産店で買ったのがなつかしい。

私には高価すぎて、1回にひとつ買うのが、度胸の限界だったっけ。
・・・なぜ3頭で買うのをやめたのかしら。
そんなロバみたいなもん、4頭も5頭も 集まったらうるさいからか。
行ってみたけれど、たのみのその店がもうなかったからか。

彼らの角は額の真ん中へんにあって、うっかり家でケガをさせたのだけ、
なんだか器量が悪い。河馬みたいな顔だちで、目をつぶって太り気味。
初めは3頭いっしょに、あっちに動かしこっちに動かすのだが、
1頭だけつい本箱のガラス扉の中に戻して、また出すのである。

そんな不公平をするものじゃないと思うのだっておかしいけれど、
こうなると魂のようなものが、宿っている感じがして落ち着けない。
こういうなりゆきは、面白いけど、もうすごくめんどくさい。
それで青いクリスタルガラスのオウムに、私は彼らを見張らせている。