2020年3月8日日曜日

どんてん


どんな鳥だかなんなのか
灰色の空から飛んできて
あたりのどの樹よりも
向こうのアパートよりも背の高い
あのメタセコイヤの
レースのような枝の先の
まったく尖ったてっぺんで
ちょっとゆっくり
遠くを見張っているものがいるのです

それはしばらくいたのだけれど
思案投げ首あてもない
絵ハガキみたいな姿ですが
なぜか退屈もするようで
おかしなことに
でんぐりがえしもしてみたりして
やっぱりそこに飽きちゃって
飛んでいってしまったのです
もう決めた、とでもいうように

このどんてんがホントの曇天なのか
目がかすんでいる昨今なので
霧雨なども見えないし
窓の外をふとながめると
むこうの公園の少し遠くから
あの木もこの樹も
少しばかり乗り出して
私のことを見ている風情
私だってひとりぼっちじゃないわけです