2020年2月14日金曜日

あれもぶっ壊れこれもぶっ壊れ


うちはなにもかもぶっ壊れはじめている。
とりわけ、電気ストーブが、つぎつぎにダメになって、
なんとかしようとするけど、いくら暖冬かしれないが、しのげない。
ある夜、長椅子に、遥が送ってくれた大きなスカーフを掛けた。
ステキだけれどトシだからと敬遠していた更紗もようである。

更紗模様に合わせて、遥がくれたオランダの絵本を、ひろげる。
この絵本には、絵、だけしかない。
オランダ語は歯が立たなかろうと、なんだか折り畳みの、始末におえない
長い長い、ページの切れ目のないみょうな絵本なのであって・・・、
しかも選んでるヒマがなかったと言わんばかりの、赤い衣装のカラスの洪水。
どこどこまでもカラスカラスカラス、またカラスカラスが、赤い衣装で、移動
している本である。洋服なんか着て、トロッコまがいの赤い靴に乗って、
あれ持ってこれ持って、まあそれぞれのカラス、カラスのつごうで。
…赤い赤い、火事みたいな、カラスのお引越し。
かわいくないカラスの。
うざったい絵本なので、遥にはわるいけれど、ふだんは隠してある。
それを棚が長いのをさいわい、長くながく、もっと長く飾ったんだけど、
真っ赤だらけの絵本だから、棚の上が、暖炉みたいに燃えている。
最近、目がよく見えないから、なおさら、ホントがウソみたいに、あったかい。
目が温かいと、ストーブなみに、なにがしか熱みたいなものを受けとれて、
けっこうビンボウがさいわいである。