2020年2月2日日曜日

ガラスの強度


台風13号の時、キモを冷やしたのは、
ガラスが割れた場合に備えて下さい。補強してください。
しかし補強はガラスの飛散を防ぐだけです。補強しても割れます。
危ない、危ない、危ないっ! というマスコミその他の大宣伝だった。

私はそれを鵜呑みにし、段ボールを解体しガムテープを窓に貼り付けた。
北と南の、家中のガラス窓にである。
うちはコンクリートの集合住宅の真ん中だから助かった。
角だと、窓の数がふえるから、本当に大変だと思っていた。

嵐がぶじ通過して、しばらくたってから、うん?と考えたけれど、
見わたすかぎりの家が無事だった。
13号は多摩市を避け、ほかの地域をバリバリに壊して去ったのかも。
新聞もそう言ってるし。
 
うちとおなじ公団住宅の中には、用心深く鎧戸をつけたお宅もある。
台風のころは、お金持ちは安全でいいなと思ったけれど、
こう見ると、もともと用心しなかったのか、まにあわなかったのか、
ガラス窓むきだしのままという家も、けっこう多い。

しばらくたって、ヘンなことを、思い出した。
「大草原の小さな家」である。
父ちゃんの手作りした家には、こんどはちゃんとガラス窓がついている。
小さな、小さな、でもだんだん便利に広くなってゆく大草原の小屋だ。
その家の周囲が、おそろしい竜巻や、果てしない猛吹雪に襲われる! 
もちろん薪や食料貯蔵用の地下室に避難ということだってある。
しかし、大自然の猛威にさらされる吹きっ晒しの寒い夏も、長い冬も、
ローラやキャリイは、小さなガラス窓の氷をまるく溶かして、
地獄のような大草原を眺めずにはいられない。

待てよ、150年も前のガラスでしょ?
割れないの?
ガラスがこわれたという話が、全然書いてないのはなぜか。

壊れなかったからだ。


このあいだ久里浜であった友人は、2年前、公団住宅の管理組合の理事だった。
役目で、綿密に建築関係の資料にあたったところ、
「公団のガラスの強度は大概の自然の猛威に耐え得る。」
そうなっていますよと言う。強度を示す数字まで私たちに教えてくれた。
「あなたのお宅って鎧戸なし?!」
「うん、やってないよ。」
気象庁とマスコミと政府と、この友人と。
だれの言うことを信用するかというと、私の場合は、
自己責任のもと、
この友人と、それから、ローラ・インガルスと父ちゃんのくらした、
資本主義じゃない時代かな。