2020年2月6日木曜日

スランプな夜


「もうなんにも思いつかないんだけどさー。」
夜の食事が終わって、息子がぼわぁっと腰かけてスマホを見ている。
私が話しかけると、もや~と笑ってこっちを見る。くたびれてんだなーと思う。
「あのさぁ、ブログよ。書くことがないの。まるでなんにも思いつけないの」
「ああ、ブログ・・・ね」
愛想笑いをうかべているが、顔の輪郭がぼやぼやに崩れて、眼もうつろだ。
「あんたって疲れてるのね、タイヘンだねぇ。 ねえ、考えてよ」
これ書けって言ってくれない?とむりにも頼むと、
 「・・・そうか、書くこと、ないか」
気の毒にぼーっと、それでも考えようと努力して、ぐらぐら、
なんかこう、頭のまんなかにヘンなふうに両手の指を立て、
どうせ、つまらない単語でも並べるんだろうと私が待っていると、

「いま、頭のここがキーン・・・とすごく鳴っちゃったんだよね、かあさん?」

私は、もうおかしくておかしくて、
あはははははは、とひっくり返りそうになって笑ったけど、
けっきょくなんの解決にもならなかった。