2020年2月15日土曜日

生活の模様


暖冬。
なのに、私は寒くてたまりません。
考えられないほど着こむ。
サイズが合うスカートは夏物だけ。いくら私が主観的でもこれはオカシイ。
だからスカートの上に、ワンピース・のようなものを重ねて着る。
そんなにたくさんと思わないでもないが、それができるから痩せるとベンリだ。
私って昔から、ブカブカを選んで着るタイプだったし。
最近の私は、こまったことに血が通ってないみたいに、両足が冷たい。
どうするかというと短いの長いの二重三重に毛糸の靴下を足に巻くというか、
履くというか、靴が内心ウンザリしていると思う。

さて私はTシャツその他4枚を重ね着し、その上にオーバーまではおる。
4枚のうち一番気に入っているのは、黒いオンボロのセーターで、
これは、そこらじゅうが穴だらけ、世紀末みたいに端切れ化している。
気をつけないと、着る時、腕の途中から、手が出てしまう。
でも自分としては愉快みたいな。どこに出かける時もなんとかして
この軽くて温かいオンボロを着たい私だ。
むかしからのカシミヤ、貧者の一灯、だまっていても世にも温かい。

 お隣さんたちと、反原発の映画会があって参加した日。

風の中を駅まで歩いていると、うちの隣りの若いお嫁さんが、
オンボロ・カシミヤを隠し着てるルンペン風の私を眺めて叫んだ。
「ステキ、コーディネートが!」 「あっはっはっは、ウソでしょ」 
いいえ、うそじゃなくて!
彼女が飛び上がった拍子に 藍色のブラウスが黒い半コートの下に見えた。
これが洗いざらしの渋いじつによい色で、
「ねっ、すごく気に入って、破けてもなんでも着たいから、今日も着ています」
見てくださいよ、ほらね、ほらほら、
「だけど、繕ったところがひっ吊れちゃって、きつくて。」
それはよさそうなチュニック風のブラウス、初夏みたいに涼し気、透けている。
「私っていつも暑いんです」と彼女は言う・・・。

彼女は暑い。私は寒い。
暖冬でも。