2020年2月21日金曜日

立往生


夜空を、白い小さな雲が、風に吹かれながら飛んでいる。
雨が降りそうなしめった風だけれど、
目をこらして、待っていると、けっきょく星が、
淡く、遠く・・・彼方に小さな姿をあらわす。
目が霞んでしまい、日々やっと本を読んでいる私に、
蒼ざめた淡い光が、とにかく遠くここまで、届けられるなんて。
坂の途中でひと休みしている、おばあさんのところまで。

今夜はもしかしたら、空気が澄んでいるのだ。
ウィルスを恐れて、人はみな、経済活動を最小限にしかしない。
みさかいのない金儲けほど、地球を毒するものがあるだろうか。

こんな夜中になってもコロナ・ウィルスは活躍中かしら。
夜の静かな空気、つやつや光るそよ風、
ウィルスも夜になったら眠たくなるだろうなんて、
まさか、いつのまに思いこんだのだろう?
いや、そうではなくて、本当に、この夜の団地にも、
音もなく飛んでいるのだろうか、肺炎と死を招く細菌が。
・・・多摩川の、春の、タンポポの綿毛みたいに。

クルーズ船舶で起きた長期間の乗船者監禁。感染者の続出。
医者や作業のため駆り出された人にまで感染したというニュース。

加藤勝信厚労省大臣は、なぜ陣頭指揮を取らないのか。
これは国際的な国難である。責任がどこにあろうが、現場で働く人々と
いっしょになって働くのが、こんな時のお偉方の仕事ではないか。
福島で原発が大事故を起こした時、管直人総理大臣は直ちに現地入りし、
東京電力の責任者たちにも、現地での直接指揮を命じたはずだ。
 
こんな時のためにも、私達は選挙するのである。
コロナ・ウィルスのニュースの影に隠れて、国会は空転。憲法無視の
破たん状態である。私は安倍政権というより自民党が恐ろしい。
私たち国民の、自民党体質と政治無視が、おそろしい。


        多田富雄著「残夢整理」を池内 紀の解説 とともに読了。
        大活字本600部限定(なんて少ない)。埼玉福祉会発行。
        底本は、新潮文庫。「寡黙なる巨人」の底本は集英社文庫。