2020年4月19日日曜日

雨の名前


朝から天気予報の通り雨がビシャビシャと、じゃんじゃんと降っていた。
すると、なんということか、物凄く憂鬱のどん底におちてしまい、
なにがなんでも立ち直れず。

テーブルの下の絨毯まがいの毛布をむりに取り除いてクリーナーで床掃除をした が、
がっくりくたびれただけで、右にも左にも前にも後ろにも気持ちが動かない。
杖代さんに教わった山中伸弥(ノーベル医学賞受賞者)という人のサイトを、
ひらいたけれど、おそろしくハンサムな人だなとおもっただけで、
どうにもこうにも・・・、パソコンの前で眠ってしまった。

こういう時、いっしょにいる息子がありがたい。
パソコンの前にいる私を見て、なにもかもお手上げだと思ったらしく、
残りご飯をああしようとかこうしようとか言い、自分でも面倒くさいと
思ったらしく、外に連れ出してくれた。
私たちは回転寿司やに行った。食堂があっちもこっちも休んでいたからだ。
雨もやんで、灰色のトカゲのような雲が、夕焼けの空に浮かんでいた。

夜明けにコロナ・ノイローゼだと思って、目を覚ます。
風邪薬を飲んで、水を飲んで、なんとかいうアンプルも飲む。
そうしたら、いいことを思いついた。
雨の名まえをさがそう。まるで取りえがない私だけれど、
本だらけの家に住んで、ふだん読みもしないのに、本棚に「雨の名前」もある。

木の芽雨(このめあめ)
春、木の芽どきに降る雨で、その成長を助ける雨だとか。
文章は高橋享子さんが書き、写真は佐藤秀明さんが撮っている。

むかしから木の芽がやわらかくふくらむことを
「木の芽ばる」といったりするが、これに掛けてさらに「木の芽春雨」
このめはるさめ といったりもするという説明。
なんてよい説明だろう。藤原定家のうたで説明が閉じられている。
    
   霞たち木の芽はる雨きのうまでふる野の若菜けさは摘みてん
 
時計をみれば、今はあけがた、4時という時間。
あしたがきている。栄養剤のアンプルのせいかどうか元気になって、
木の芽がやわらかくふくらむ、なんて思い方をしてなかったなーと。